273: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/30(月) 12:58:50.70 ID:DgOgOi+x0
「オンボロめ! 久々に直ったと思えばまーた故障してらぁ」
仕方がないので階段を使って一階へ。途中、買い物に出ていた事務の女性とバッタリ遭遇した高木は、
「丁度良かった」と彼女から、差し入れの缶コーヒーを手渡された。
「今からお出かけなんですか?」
「ええ、今度の仕事に思うトコがあってちょっくら現場の様子見に。お暇なら小鳥さんも一緒します?」
すると、小鳥と呼ばれた女性は「残念でした」と茶目っ気タップリに肩をすくめ。
「私にもお仕事はありますから。今日中には律子さんと一緒に告知の内容をまとめなくちゃ」
「……ははあ! どうりでお菓子を買い込んで来たワケだ」
高木は冗談めかしてそう言うと、小鳥が抱えている大きな買い出し袋に目をやり合点がいったと手を打った。
……それで機嫌を損ねたように小鳥がプイッと顔を逸らす。
「皆の為のおやつなのに! 嫌味めいたこと言うならプロデューサーさんの分はありませんよ」
「嘘うそ、冗談ですってば。誰も仕事にかこつけたお菓子タイムだなんて言ってません」
「むぅ……。たった今言ってる」
「こりゃ失敬!」
高木は悪びれた様子も見せずに謝ると彼女の横を通り抜けた。
階段を降りていく彼の背中を目で追いつつ、小鳥が上から呼びかける。
「車で行くなら安全運転。気を付けて行って来てくださいね」
「分かってますって。ついでに送迎も済ませて戻りますから……あっ、それとね小鳥さん」
そうして振り返った高木は、「なんです?」と訊き返した小鳥に憎めない笑顔でこう続けた。
「その位置からじゃ丸見えになってますよ」
「すけべっ!!」
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