「藤原肇がそれを割る日」
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83:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:09:47.93 ID:dZyp/T120
 私は、席を立ちました。

 えっと声を漏らすスタッフさん。慌てて、夕美さんが私の肩を手で押さえます。

「私達……いいえ、私にとって、どうしても譲れないんです。今日だけは。
以下略 AAS



84:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:15:49.19 ID:dZyp/T120
 どうしようもなく身勝手なのは、分かっています。

 信用を売り物にするこの業界で、依頼された仕事を放って私用を優先させたと知れ渡ったらどうなるのかも。

 でも、逸る気持ちが、どうしても抑えられません。私は――。
以下略 AAS



85:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:20:16.85 ID:dZyp/T120
「へ……?」


「いや、呼ばれたから来たんやん」

以下略 AAS



86:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:22:41.09 ID:dZyp/T120
「ほれほれ、時間無いんでしょ? 肇ちゃん、さっさと脱げ〜い!」
「えっ、うえぇ!?」
「ここはCGプロが誇るナンバー2和服美人のシューコちゃんに任されよう。ちなみに高いよ?」

「よいではないか☆よいではないか」
以下略 AAS



87:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:27:55.75 ID:dZyp/T120
 東京駅から岡山駅までは、およそ4時間。

 そこから在来線に乗り継ぎ、私の家には着くのは、たぶん夜になるでしょう。


以下略 AAS



88:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:34:00.73 ID:dZyp/T120
 冷静になれば、この新幹線にこだわる必要なんて、無かったんです。

 多少遅くなろうと、何本か遅らせてでも、今日中に――いや、明日でも良かった。

 家に着くことさえ出来れば良かったんです。なのに――。
以下略 AAS



89:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:36:17.21 ID:dZyp/T120
「ここ最近、ずっと口数が少なかったのも……一生懸命、我慢していたんだよね」

 夕美さんは、そっと私の手を取りました。

「口を開くと、抱えてる不安とか、不満とか、嫌な言葉をふとした拍子で皆にぶつけちゃいそうで、それが怖くて……だから、我慢していたんでしょう?」
以下略 AAS



90:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:39:11.93 ID:dZyp/T120
 最寄り駅に着く頃には、辺りは真っ暗でした。

 予め待ち合わせをお願いしていたお父さんの車に急いで乗り込み、家に向かいます。

 夕美さんを乗せて家に行くのは、何度もありましたが、こんな遅い時間に行くのは初めてです。
以下略 AAS



91:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:40:56.57 ID:dZyp/T120
「私、居間で待ってた方が、良いのかな?」

 私の目的が工房にあることを、夕美さんはとっくに察していたようです。

 私は、車を降りて、無言で頷きました。
以下略 AAS



92:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:45:02.20 ID:dZyp/T120
 ――――。


 ――それは、素晴らしい出来映えでした。

以下略 AAS



93:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:47:08.45 ID:dZyp/T120
 誰もいない、ひんやりとした工房で、私はそれを手に持ち、しばらく立ち尽くしていました。

 放心状態と言っても、良かったかも知れません。


以下略 AAS



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