18:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 19:51:23.55 ID:pXJ6Ifkk0
「ふむふむ。じゃあ改めて……始めましょっか」
「はい」
そう言ってみたものの――。
19:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 19:53:58.84 ID:pXJ6Ifkk0
名前も知らない、オレンジ色の花を手にします。
それを中央に。
次は――薄い青の、差が高くて細長い花。これは――横に。
20:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:00:25.73 ID:pXJ6Ifkk0
緑は草原、というのは安直です。
しかし、それゆえに誰にも伝わりやすいという強みがあります。
そうなると、空は青です。背の高い、先ほどの細長い花を生け直します。
21:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:03:34.08 ID:pXJ6Ifkk0
いつの間にか、夕美さんは私に紅茶を淹れてくれていました。
それと――。
「ぬふふふ」
22:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:05:05.28 ID:pXJ6Ifkk0
「というわけで、完成! 大作だね、肇ちゃん」
「は、はぁ……」
いざ、見直してみると、何だかごちゃごちゃと、よく分からないものになってしまいました。
23:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:09:35.91 ID:pXJ6Ifkk0
「……えっ!?」
「Pさんからこっそり聞いたんだ、肇ちゃんの誕生日」
夕美さんは、さっきまで自分で作っていた生け花を、そのまま私に差し出しました。
24:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:12:40.47 ID:pXJ6Ifkk0
ここまでされたからには、私も何かお返しをしなくては気がすみません。
「夕美さんの誕生日、教えてください。今度は、私が自慢の作品をプレゼントする番です」
「あー、んーとね。私の誕生日もう過ぎちゃった」
25:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:16:44.30 ID:pXJ6Ifkk0
実は、実家には月に一度、定期的に帰っていました。
アイドルになることを許したとはいえ、おじいちゃんはまだ、私に後を継がせたいのです。
私の技量が落ちることの無いように、工房に呼ばれては一緒に土をこねます。
26:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:18:32.89 ID:pXJ6Ifkk0
「わ、私、こんな格好で良かったのかな……?」
工房に着くと、夕美さんは小声で私に耳打ちしました。彼女は、いつものスカート姿です。
「今日夕美さんに作ってもらうのは簡単なものなので、そんなに汚れないと思いますよ」
27:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:20:37.19 ID:pXJ6Ifkk0
陶芸教室でよくご案内するのは、湯呑みやお茶碗、お皿――男の人だと、ぐい飲みなどもあります。
夕美さんは、お茶碗を選びました。
28:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 20:23:04.76 ID:pXJ6Ifkk0
「私は、先生ではありませんよ」
「冷静に返さなくていいじゃん、もう〜。あはは」
夕美さんは恥ずかしがるように笑いますが、とても良い出来です。
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