167:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 21:53:28.87 ID:hojLDG6p0
「はぁ、はぁ……。とりあえず、ここで一旦休みましょう」
「いったいどうしたんだ。あの涼風は五月雨を姉さんと呼んでいたけど」
「それは嘘です! とにかく捕まってはいけませんよ!」
168:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 21:54:16.34 ID:hojLDG6p0
「で、なんで見ただけで分かったのか?」
「目ですよ。病んでる目なんです。さっきは一発でやばいと分かるものでした」
「そうなのか……」
169:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 21:54:58.29 ID:hojLDG6p0
「……申し訳なかった。ついつい私も興奮してしまって……」
「そうですか……。ちなみに何で会いたいと思ったのですか?」
「……」
170:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 21:56:34.56 ID:hojLDG6p0
「なんか、私、この格好じゃ落ち着かないです。司令みたいに今日は私服でくればよかったです。
……あ、北上さんの試験までまだ時間ありますし、服屋さん寄っていいですか??」
「ああ、そうだね。一緒に行こうか」
171:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 21:57:56.72 ID:hojLDG6p0
五月雨は上機嫌に言うと、服を選び始める。
こうやって見ると、五月雨も普通の女の子なのだ。
恋やらおしゃれやらなんやらに一番興味がある年頃を艦娘として過ごす彼女は、そういうのを制限されてしまう。
172:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 22:00:00.48 ID:hojLDG6p0
そんな中で、つい最近の日経新聞で読んだのだが、小中学生のなりたい仕事ランキングが出ていた。
私は苦笑した。
小学生と中学生の女子のなりたい仕事ランキングに「艦娘」があるのだ。
173:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 22:06:10.67 ID:hojLDG6p0
***
二人で喋りながら会場に戻ると、妹と谷風の試験時間の十分前になっていた。ちょうどいい時間に戻ってきた。
私と五月雨は、妹の試験が行われる海域の海岸に腰を下ろすと、試合が始まるのを待った。
174:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 22:32:18.23 ID:hojLDG6p0
「いや、やっぱり私は初期艦を五月雨にしてよかったよ」
「わわっ、急にびっくりです! でも、兄さんにそう言ってもらえて私は幸せです♪」
あゝ、心が洗われる。五月雨の精神洗浄能力は半端ではない。彼女のお陰で私は今、どれだけ紳士になれていることか……。
175:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 22:33:58.07 ID:hojLDG6p0
五月雨はいつも通りの口調で私に説明してくれたが、さっきの事がトラウマなのか、彼女の視線は涼風の方に向いていた。
そしてその視線は、何を考えているのか分からない複雑な視線であった。
「……ああ、あれが軽巡夕張か。なかなか手ごわい相手だな。……で、五月雨。もしさっきの事で不安なら、この試験は見なくても大丈夫だよ」
176:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 22:36:03.60 ID:hojLDG6p0
そうか、あの涼風は土佐沖ノ島泊地所属なのか。皆、近場の泊地の子たちじゃないか。
――と、試験開始を知らせる砲撃が佐伯湾に鳴り響いた。
そして、開始と同時に谷風は夕張の方へと猛スピードで突っ込んでいった。
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