168:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 21:54:16.34 ID:hojLDG6p0
「で、なんで見ただけで分かったのか?」
「目ですよ。病んでる目なんです。さっきは一発でやばいと分かるものでした」
「そうなのか……」
「ええ。叫んでいることからして、きっと、少佐の五月雨のお姉さんを亡くされたのだと思います……」
――少佐の五月雨、少佐の五月雨…………。
「――っ!」
その五月雨って、豊後水道沖夜戦事件で轟沈した五月雨少佐ではないのか!?
直後、私は立ち上がる。その涼風に会いたいと思ったからだ。
「何しようとしてるんですか!」
私が元来た道に体を向けると、五月雨は私の腕を力強く握った。
「私はあの子に会いたい」
「何を考えているのですか! 司令が人質になったらどうするのですか??」
「そんな事ないさ。私は大丈夫だ」
「大丈夫じゃないです! 相手は病んでいるのです。あなたを人質に私の身柄を捕獲しようとします」
「そんな事したら、あの子は軍規違反で海没処分されてしまうではないか」
「そう言うことです! そして司令も、病気と分かっていながらあの子と接したとして減給&始末書ものです! 代償捕獲病は亡くした姉妹と同種の艦に会わなければ徐々に落ち着いてきますから。司令はそれをぶり返してよいのですか?」
五月雨の正論であった。
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