171:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 21:57:56.72 ID:hojLDG6p0
五月雨は上機嫌に言うと、服を選び始める。
こうやって見ると、五月雨も普通の女の子なのだ。
恋やらおしゃれやらなんやらに一番興味がある年頃を艦娘として過ごす彼女は、そういうのを制限されてしまう。
それがたとえ、彼女の意思で艦娘になったとしても、私にはそれは少し悲しいことの様に思えた。
ふと、茨木さんの「私がいちばんきれいだったとき」という詩が脳裏に浮かぶ。
ああ、早くこの戦いが終わればいいのにな。
私は冷房の効いた店内の中、そんな事を思う。
と、行きの船内での谷風の言葉を思い出す。
逆に彼女のような子たちにとって、「艦娘」は救いの仕事だ。
なんと皮肉なことか。
機会均等を謳う日本社会。
しかし、彼女のような存在は身分が固定していることを教えてくれる。
親の所得が子の所得を映し、豊かさは豊かさを受け継ぎ、貧しさは貧しさを受け継ぐ。
それを救う「艦娘」という仕事も、結局は弱者には厳しい。勝ち組になれるやら更生やらを理由に好き勝手している。
数年前にどっかの首相が言ってた一億総活躍社会やらなんやらが馬鹿馬鹿しく思える。
去年あったオリムピックも灼熱地獄のオリムピックとなり、それが終わると炭化したようにさびしくなって、景気も何もかも萎んでいった。
――まさに今は不景気だ。
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