311: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/25(月) 22:06:46.90 ID:8GpORR1a0
俺達が籠もっていた倉庫は、半円形に展開した80人ほどの部隊によって包囲されていた。ソヴィエト連邦時代からの骨董品とはいえ機関銃付の装甲車も所持していた事を考慮すると、【艦娘】の3人以外には突破がかなり辛い相手だったに違いない。
(,,#゚Д゚)「押し込むぞ、動く奴は片端から撃ち殺せ!」
(#゚∋゚)「俺達は前段部隊を左翼から突破する!
312: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/25(月) 22:48:43.54 ID:8GpORR1a0
「包囲部隊、退却を開始!」
(,,#゚Д゚)「次が来るぞ、遮蔽物の確保急げ!」
動向自体には注意を払いつつも、一先ず包囲網に関しては元々崩せさえすれば殲滅の必要性はない。目に付いた敵2、3人を射殺した後は、倉庫からふっ飛んできたと思われる鉄の柱が突き刺さって横転しているBRDM-1の内一台の影に隠れる。
313: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/25(月) 23:19:49.82 ID:8GpORR1a0
('、`*川《統合管制機よりWild-Cat以下第1波空挺団各位に通達、今より120分後に“海軍”航空隊とアメリカ空軍によるトゥロマ川流域全体への大規模空爆が敢行されます。
特に港湾施設への攻撃は重点的に行われるため、鎮守府付近で活動中の部隊は十分な注意を払ってください》
(,,゚Д゚)「…………Wild-Catより統合管制機、それは作戦指揮官の【Caesar】も了承済の内容か?」
314: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/25(月) 23:54:56.23 ID:8GpORR1a0
村田が点火した20cm程の筒から、深緑色の煙が濛々と吹き出して天へと昇っていく。こっちが目眩ましをするつもりだとでも思ったのか、包囲部隊が退却し終えたことも手伝って敵の銃火が更に激しさを増す。
だが、俺達はこの煙を“使って”何かをするつもりは毛頭無い。煙を“上げる”ことそれ自体が目的だ。
(,,゚Д゚)「Wild-CatよりRabbit、緑色の煙が見えるか!?」
315: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/09/26(火) 00:41:31.43 ID:S9ZMkwjX0
旧式艦艇である睦月型駆逐艦の能力は、はっきり言ってしまうと極めて低い。取り柄と言えば燃費だけで最前線や中枢部隊に配備するメリットは殆ど無く、実際自衛隊所属の睦月型に一線級艦隊で活躍する個体はほぼ存在しない。
酷な話をすると無保有国に対する艦娘のレンドリースが可能となった際に、最も“国防に対する影響が少ない”睦月型を優先するという旨が既に自衛隊並びに内閣で決まっているらしい。
あくまでロマさんからの受け売りではあるが、感情論を度外視した場合理に適った内容のためおそらく真実だろう。
316: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/26(火) 01:06:40.68 ID:S9ZMkwjX0
「おい【Rabbit】卯月、少し派手にやり過ぎじゃねえか?!こっちのトラウマが増えたらどうしてくれンだよ!」
《ダウトもいいとこだっぴょん!地獄の血みどろなんちゃら鎮守府の奴等が最も“とらうま”なんて言葉から縁遠い存在であることは周知の事実だっぴょん!》
(,,゚Д゚)「いや、それは違うぞ。確かにこいつらは概ね樹齢うん千年の大木より図太い神経の持ち主だがトラウマが全くないわけじゃない」
317: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/26(火) 08:54:49.08 ID:S9ZMkwjX0
残存戦力は1割程度とはいえ、元の母数から考えれば例え1割でもそれなりの数にはなる。
卯月の砲撃から生存した敵主力部隊の1割、凡そ30名。荒い息の中で立ち上がったそいつらは、向かってくる時雨と江風に銃口を────否、その先に装着された“銃剣”を構えた。
「давай!!!』
318:名無しNIPPER[sage]
2017/09/27(水) 01:52:33.20 ID:5z3BmRNA0
流石に威力が違えば凄いことになるな…
寝返った連中は処分されるだろうけど、最終的に漏れ伝わる逸話も酷そうなw
319: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/27(水) 21:16:09.03 ID:SCDtIfhW0
白兵戦闘が深海棲艦や艦娘に対して一定の効果を発揮する理由は、奴等が“軍艦である”という点に集約される。大半の陸戦兵器を凌駕蹂躙し得る火力も、鼻先まで肉薄されてしまえば自身を巻き添えにする可能性が跳ね上がりおいそれとは使えない。無論艦砲射撃の衝撃に耐えうる強靱な身体の持ち主を相手にするわけだから接近してからも油断はできないが、肉体部分に刃さえ通すことができれば銃弾や砲弾を湯水のように使って船体殻や甲殻を削るよりも遙かに効率的に奴等を殺すことができる。
とはいえ、では肉弾突撃が無敵の必殺技かというと残念ながらそうはならない。要は“通常兵器に比べると”急所を一撃で突ける分まだ勝ち目があるというだけで、成功させるには相応の作戦と彼我の状況の的確な分析、そして何より実行する部隊の高い練度が必要になる。例えばフランス陸軍がやらかしたパリでのアレは、教科書に載せたいぐらい典型的な“最悪の白兵戦”だ。
いかに深海棲艦が砲雷撃戦を前提としていて殆どの個体が白兵戦を想定していないとはいえ、なんの策もなくまっ正面から突撃すればある程度は対処できる。というかそれ以前に近づく前に圧倒的な弾幕に大半は接近できず薙ぎ払われることになるため、まぁ言ってしまうなら集団自殺と何一つ変わらない。
320: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/27(水) 22:50:23.37 ID:SCDtIfhW0
ほんの5メートルもない距離からの突撃。全くの同時にタイミングを合わせることができたなら、或いは微かに勝機を見いだせたかも知れない。
だが、一方的は虐殺劇に対する焦りと動揺がそうさせたのか、兵士二人の動きは一見機敏でもただ飛びかかっただけだった。
「ypaaa────アッ!?』
321: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/27(水) 23:45:00.37 ID:SCDtIfhW0
ファルロの“元”同僚共は、人類全体の命運を握る重要拠点の守備隊だっただけあってその練度は決して低くはない。そりゃあ俺達“海軍”程とは言わないが、動きは艦砲射撃から辛うじて生き延びた直後であることを考慮すると寧ろよくこれだけまだ鋭く動けると感心する。
並みの────白兵戦を不得手とする“普通の”艦娘や深海棲艦のヒト型相手なら、殺れていた可能性も充分にありそうだ。
(,,゚Д゚)(残念ながら相手が悪いどころの話じゃなかったが)
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