ある門番たちの日常のようです
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319: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/27(水) 21:16:09.03 ID:SCDtIfhW0
白兵戦闘が深海棲艦や艦娘に対して一定の効果を発揮する理由は、奴等が“軍艦である”という点に集約される。大半の陸戦兵器を凌駕蹂躙し得る火力も、鼻先まで肉薄されてしまえば自身を巻き添えにする可能性が跳ね上がりおいそれとは使えない。無論艦砲射撃の衝撃に耐えうる強靱な身体の持ち主を相手にするわけだから接近してからも油断はできないが、肉体部分に刃さえ通すことができれば銃弾や砲弾を湯水のように使って船体殻や甲殻を削るよりも遙かに効率的に奴等を殺すことができる。

とはいえ、では肉弾突撃が無敵の必殺技かというと残念ながらそうはならない。要は“通常兵器に比べると”急所を一撃で突ける分まだ勝ち目があるというだけで、成功させるには相応の作戦と彼我の状況の的確な分析、そして何より実行する部隊の高い練度が必要になる。例えばフランス陸軍がやらかしたパリでのアレは、教科書に載せたいぐらい典型的な“最悪の白兵戦”だ。

いかに深海棲艦が砲雷撃戦を前提としていて殆どの個体が白兵戦を想定していないとはいえ、なんの策もなくまっ正面から突撃すればある程度は対処できる。というかそれ以前に近づく前に圧倒的な弾幕に大半は接近できず薙ぎ払われることになるため、まぁ言ってしまうなら集団自殺と何一つ変わらない。

さて、では何とか四苦八苦して敵との距離を詰めることができたとして、もしそいつが“白兵戦の心得もあった場合”はどうなるのか?

「ふぅっ───」

その答えが、今この瞬間俺の目の前で作り出されている光景だ。

「ほっ!」

「グァッ………ァアアアアアアアアアッ!!!!!?』

時雨は軽い調子で息を吐き、軽い調子でそのロシア兵に足払いをかけた。次の瞬間その兵士の両足は膝から下が千切れて吹き飛び、仰向けに地面に転がることになったそいつが絶望的な表情で叫び出す。

「アァアアッ、ウァア゛ッ……』

「耳障りだから静かにして」

断末魔は、そいつの頭部が踏み砕かれたところで止まった。その両側から、銃剣を構えたガタイのよい2人が勢いよく時雨めがけて突進する。


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