■■「島村卯月をはじめましょう」
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48:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:37:29.58 ID:55jPn/3I0
◇◇◇

 ビルの谷間の道路を、多くの人が練り歩く都会の中央。
 犬の銅像と緑色の電車がランドマークの広場。そこに、沢山の人が居ました。

以下略 AAS



49:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:38:39.81 ID:55jPn/3I0
 駅前に集まった人々は、私を待っている人もいる。だけど、大部分は見知らぬ人です。
 素知らぬ顔で、街を歩む。振り返ってくれるかもわからない。

 その人たちが、私を見た時、どう思うでしょうか?

以下略 AAS



50:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:39:44.61 ID:55jPn/3I0
 ――初めから、島村卯月として造ってくれたのなら、こんなことを考えることは無かったと思います。

「プロデューサーさんは、私を『島村卯月』の人格を与えませんでした」

「恨んでる?」
以下略 AAS



51:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:40:26.80 ID:55jPn/3I0
 私の存在は極めて不安定です。
 今、考えていることだって、作られたものであるかもしれない。
 でも、この心はプロデューサーさんの憧れから生まれたもの。
 纏う存在には、オーハシさんが作ってくれた『島村卯月』が詰まっている。

以下略 AAS



52:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:41:57.17 ID:55jPn/3I0
 そう在るように選ばせてくれたことに感謝します。
 選んだという事実が、確かに私の存在を定義してくれます。

 だから、確かめに行ってきます。
 あの人から託された、大きな力を借りて。
以下略 AAS



53:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:43:00.16 ID:55jPn/3I0
 腕を振り、服を翻す。
 馬鹿にみたいに現実的に計算された衣装の物理演算は、現実のものとまったく遜色ありません。
 そう、ここに在るものはすべてが本物。心も体も、すべてが『アイドル』です。

 さあ、いきましょう――『島村卯月』
以下略 AAS



54:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:43:47.99 ID:55jPn/3I0
「――はじめまして」

 この『声』は、あの人から受け継いだ、大切な誓いだから!

「島村、卯月ですっ!!」
以下略 AAS



55:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:44:27.86 ID:55jPn/3I0
◇◇◇

 日々は、過ぎていきました。

 最初は、あんまり好意的でない人も居ました。
以下略 AAS



56:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:44:59.11 ID:55jPn/3I0
 私は、どこまでいけるのだろう。
 私は、いつまでアイドルで居られるのだろう。

 『島村卯月』は、どこまでアイドルで居られるのだろう。

以下略 AAS



57:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:46:42.63 ID:55jPn/3I0
◇◇◇

 透明な大地が、地平線の果てまで広がっています。
 真っ白な道が、地平線の向こうまで続いています。
 その道には、沢山の分かれ道があって、それぞれが見渡せないほど遠くまで続いていました。
以下略 AAS



58:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:47:17.98 ID:55jPn/3I0
 もう、いいんじゃないのかな。そう思いました。
 だけど、まだいけると思いました。

 みんなと一緒なら進めると思っていました。
 だけど、一人になっても、進んでみたいと思いました。
以下略 AAS



59:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:47:57.83 ID:55jPn/3I0
「辛いですか?」

 影法師の問いかけは容赦がなくて、『島村卯月』もちょっと困ってしまいます。

「ちょっとだけ……」
以下略 AAS



60:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:49:00.11 ID:55jPn/3I0
 振り返った先には、今まで歩んできた道。
 何も無かった大地に足跡を刻む。そこには、眠っていた種子が宿っていた。

 私は歩み、それを起こしただけ。

以下略 AAS



61:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:49:27.26 ID:55jPn/3I0
◇◇◇

 ――遠い、夢を見ていました。
 ええと、今は――確認しようとモニターを開くと、そこは星の海。
 巨大な鉄の船と、それを見守る星の光がありました。
以下略 AAS



62:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:50:26.58 ID:55jPn/3I0
 私はデビューしてから、沢山の時間が流れました。
 あれから色々ありましたけど、人類――いえ、地球種と言った方がいいでしょうか。
 ともかく、私たちは生きている。

 そして、『島村卯月』は、今もアイドルです。
以下略 AAS



63:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:51:18.93 ID:55jPn/3I0
 ヒトの世代は何度も重ねられ、私はこの世界で最も歳を重ねた知的『生命体』の一つです。
 それでも、アイドルはまだ辞められない。
 だって、私はアイドルが――ステージの上から見る、ファンの人たちの笑顔が好きだから。

 だから、地球ではなくて他の星の人の笑顔も見てみたい。
以下略 AAS



64:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:52:17.09 ID:55jPn/3I0
 終われないのは、大変だけど。だけど、ここで終わってしまうのは、もっと辛い。

 だって、『島村卯月』は『アイドル』だから。歌い続けることが出来る限り、愛がある限り、そこに立ち続けることが出来るのだから。

 みんなの笑顔を見るのが、好きだから――笑顔で居られる世界が好きだから、頑張ります。
以下略 AAS



65:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:53:16.69 ID:55jPn/3I0
◇◇◇

 地球とは遠い惑星。蒼い肌をした原生民が、黙ってモニターを眺めていた。

「みなさーん、楽しんでますかー」
以下略 AAS



66:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:53:42.07 ID:55jPn/3I0
以上となります。
お付き合いいただき、ありがとうございました。


67:名無しNIPPER[sage]
2017/07/15(土) 23:02:47.39 ID:gCDijixr0
乙、サービス終了してもなんらかの形でアイドルたちの存在は残って欲しいなあ


68:名無しNIPPER[sage]
2017/07/16(日) 06:06:45.84 ID:pUxwc2NA0


1作めにかなり寄せてきたのな


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