90:名無しNIPPER[saga]
2017/07/10(月) 23:36:55.47 ID:otTlPJINo
この人なりに勇気づけようとしてくれるんだ。
大人扱いも、子ども扱いもしない。ちゃんと私が頑張れる一言を言ってくれる。
91:名無しNIPPER[saga]
2017/07/10(月) 23:37:31.48 ID:otTlPJINo
――――――
―――
「悠貴ちゃん、スタンバイお願いします!」
92:名無しNIPPER[saga]
2017/07/10(月) 23:37:57.91 ID:otTlPJINo
「悠貴。 転ばないように、気をつけてな」
プロデューサーさんは、そう言ってすっと手を上げました。
93:名無しNIPPER[saga]
2017/07/10(月) 23:38:24.40 ID:otTlPJINo
◇
私は、8レーンある内、真ん中の5レーンを走ることになりました。
本当の大会だったら、一番速い人たちが走ることを許される特等席です。
94:名無しNIPPER[saga]
2017/07/10(月) 23:39:00.80 ID:otTlPJINo
『――以上、8名により、南関東100m女子決勝戦のレースを行います』
『位置について』
95:名無しNIPPER[saga]
2017/07/10(月) 23:39:35.98 ID:otTlPJINo
ピストル音。
1歩目がぐっと地面をつかんで、すっと次の足が出ていきます。
背が高い私は、細かく足を刻めないので、他の人より素早くスタートできません。
96:名無しNIPPER[saga]
2017/07/10(月) 23:40:07.68 ID:otTlPJINo
私は身体ごとゴールラインに突っ込んでいきました。
とにかく終わったんだって気持ちで一杯で、もう何も分かりません。
ちゃんと1位でゴールできたよねっ?上手く撮れたのかな?
97:名無しNIPPER[saga]
2017/07/10(月) 23:40:37.67 ID:otTlPJINo
「分かってるよ」
気持ちも身体も舞い上がって落ち着かない私に、プロデューサーさんが笑いました。
98:名無しNIPPER[saga]
2017/07/10(月) 23:41:04.25 ID:otTlPJINo
バサッと私の頭にタオルがかけられたと思ったら、
そのまま髪をわしゃわしゃーっとされます。
99:名無しNIPPER[saga]
2017/07/10(月) 23:41:34.13 ID:otTlPJINo
このドキドキは、この暖かさは、走ったからだけじゃありません。
いっぱい遠回りして、いろんなことを経験して、今日やっと分かったキモチなんだ。
私は、いつだってプロデューサーさんに笑っててほしくて。
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