4:全知全能の神未来を知る金髪王子様の須賀京太郎様
2017/06/26(月) 10:42:00.71 ID:jt/XC88V0
昨日大雨でしたねで何時千川ちひろは全身脱毛体験を行うの
バナナとキシリトール旨い
俺様今日から晩御飯以外食べない主義に変えたンゴ
5: ◆tADl8swv.6[sage saga]
2017/06/26(月) 11:05:37.26 ID:EWHuDVZJ0
ドライヤーとアイロンを駆使してまゆの濡れた衣服を乾かしながら、頭を整理する。
なお、流石に替えの下着類はビニール袋に入れて用意していたようなのでそこまで変態じみた絵面にはなっていない。お父さんの気持ちになるですよ。
先刻運命的に出逢ったという表現をしたが、正にその通りとしか言えない。今日は……まゆと初めて出逢った日ではなかった。
6: ◆tADl8swv.6[sage saga]
2017/06/26(月) 11:32:28.44 ID:EWHuDVZJ0
その、彼女の瞳に……惹かれた。
だからまゆの手を取った。担当アイドルとして、プロデュースし続けることを誓った。
それからその関係は始まった。
7: ◆tADl8swv.6[sage saga]
2017/06/26(月) 12:26:29.33 ID:EWHuDVZJ0
暫く経って、風呂から上がり。
差し出された乾いた衣類を身に纏って、まゆは昼食を作るためにキッチンに立った。
頭の中にインプットされたレシピを自在に操って、手際よく調理していくその姿は流石と言うほかない。
8: ◆tADl8swv.6[sage saga]
2017/06/26(月) 15:56:55.46 ID:EWHuDVZJ0
「思えば……ここまで、色んなことがありましたよね」
脳裏に焼きついた記憶の数々。忘れることのない、運命の出逢いから始まったアイドルとして生まれ変わったまゆと歩んだ軌跡。
「……ああ、そうだな」
9: ◆tADl8swv.6[sage saga]
2017/06/26(月) 16:38:46.15 ID:EWHuDVZJ0
その質問に続けるように、まゆは左手のひらを此方側へ向けてきた。
……実際に彼女が指し示している箇所は、手のひらのもう少し下。
そこには、傷があった。他の誰でもない、まゆ自身がつけた傷が。
それはこの世界に抵抗した証。少女が辛くて、弱くて、どうしようもなく優しかったからこそついた傷痕。
10: ◆tADl8swv.6[sage saga]
2017/06/26(月) 17:16:54.11 ID:EWHuDVZJ0
「怖いんです。もし、これが治ったら……まゆがまゆでいられなくなるみたいで……。まゆと貴方の思い出までもが、『無かったこと』にされてしまいそうで……」
"嫌なこと"として処理するのは簡単だ。
"黒歴史"は忘れろなんて忠言は最もだ。
でも、果たしてそんな言葉で終わらせてしまって良いのか。
11: ◆tADl8swv.6[sage saga]
2017/06/26(月) 23:40:59.28 ID:EWHuDVZJ0
─────端的に言うのならば、
佐久間まゆは落ち着いた。
それは、プロデューサーからの確かな愛を感じたのもあり、彼女自身の研究の成果でもある。
12: ◆tADl8swv.6[sage saga]
2017/06/27(火) 00:52:31.15 ID:HIV0unwe0
「う……ふふ……ああ、まゆは本当に、いけない子ですね……」
血が流れる。不規則に枝分かれしながら、下へとポタポタと落ちていく。包丁が切ったのは左手首──ではなく。左手の小指の側面だった。
「指の怪我だって嘯いて。事あるごとに貴方への隠し味として切って混ぜたりして。それでも……それが嬉しくて。痛みさえ、愛しいんです」
13: ◆tADl8swv.6[sage saga]
2017/06/27(火) 21:48:49.97 ID:HIV0unwe0
******
私は──佐久間まゆは、よく周囲から「いい子」だと言われ続けてきた。
真面目に勉強に取り組み、規則は破らず品行方正で、家事の手伝いだって早くから始めたし、表だった人間関係の不和も起こさなかった。
14: ◆tADl8swv.6[sage saga]
2017/06/27(火) 23:01:05.32 ID:HIV0unwe0
『いつかは終わりが来ると知っているから、一分一秒が素晴らしく、当たり前の日々は何より美しい』と誰かが謳った。
私はそうは思わない。だって、認めたくない。受け入れられない。この愛おしい毎日が、いずれ消え去ってしまう運命だなんて。
『永遠』じゃないと嫌なのだ。まゆは終焉なんて望んでいない。この世すべてに抗ってでも、私は永遠を手に入れたい。掴み取りたい。
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