7: ◆tADl8swv.6[sage saga]
2017/06/26(月) 12:26:29.33 ID:EWHuDVZJ0
暫く経って、風呂から上がり。
差し出された乾いた衣類を身に纏って、まゆは昼食を作るためにキッチンに立った。
頭の中にインプットされたレシピを自在に操って、手際よく調理していくその姿は流石と言うほかない。
るんるんとご機嫌な調子で鼻歌をうたったりしながら料理するキュートな姿は、まるでラブラブな新婚の妻のようだった。
「はい、出来ましたよ。今日は特別な日ですから、全部全部、プロデューサーさんの好きなもので固めちゃいました」
出来上がったのは、鯵の開きに揚げ出し豆腐、なすの味噌汁。
揚げ出し豆腐の薬味として、万能葱の他にしめじと舞茸が添えられており、味噌は減塩のものを使用していて、鯵は旬のものがセレクトされている。細かなところまで工夫が凝らしてあるプロの仕事である。
「いつもながら……これは凄いな。こんな素敵な料理を食べられる俺は幸せ者だよ、まゆ」
「うふ、ありがとうございます…♪貴方に褒めてもらうためだったら、まゆ…フルコースだって作れちゃいますから」
まゆの分は比較すると大分少なめではあるものの、しっかりと盛られている。少食であることを理由にして、貧血で倒れてしまっては迷惑をかけてしまうのを彼女自身が深く心に刻んでいるのだ。
しばしばお互いがお互いの食べている、その幸せそうな表情を見つめながら箸を進める。
二人だけの幸せな時間は続いてく。
容赦なく時計の針は進んでいく。
巻き戻すことも出来ず、延長することも叶わない。
特別な一日は、残り半分を切って折り返した。
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