8: ◆tADl8swv.6[sage saga]
2017/06/26(月) 15:56:55.46 ID:EWHuDVZJ0
「思えば……ここまで、色んなことがありましたよね」
脳裏に焼きついた記憶の数々。忘れることのない、運命の出逢いから始まったアイドルとして生まれ変わったまゆと歩んだ軌跡。
「……ああ、そうだな」
吸血鬼を演じたハロウィンの仕事。バレンタインチョコのお渡し会の仕事。
深紅の絆を結んだ温泉旅行に、永遠の絆を約束したウェディング撮影。過激なグラビア撮影もした。悲劇のヒロインや、天女も演じた。積み重ねてきたバラエティー番組の出演も、ユニットのお仕事も、ラジオの収録も、コンサートライブも。
その全てが色褪せることなどない絶対的なメモリーだ。
だけど。だけど。だけど。
終わりがないものなど無いように。永久不変のものなど存在しないのだと。
変わったものと、変わらないもの。その両方が必ず混在しているから。
───こんなにも、苦しいのだと。
運命の少女は、濁った鉄色の瞳で問いかけた。
「プロデューサーさん。まゆは……間違っているんでしょうか?」
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