13: ◆tADl8swv.6[sage saga]
2017/06/27(火) 21:48:49.97 ID:HIV0unwe0
******
私は──佐久間まゆは、よく周囲から「いい子」だと言われ続けてきた。
真面目に勉強に取り組み、規則は破らず品行方正で、家事の手伝いだって早くから始めたし、表だった人間関係の不和も起こさなかった。
でも本当は何もかもが違った。私はただ、わざわざ素行不良な行為をする意味を見出だせなかっただけで、そこに一縷の正義感も宿ってなどいなかった。
普通であることに美徳なんて感じなかったし、秩序を尊いと思ったこともなかったし、法律なんて足枷にしか思えなかった。
現に、きっと大切な人からの頼みであればまゆはいくらでも非行に走るし、その人が喜んで幸せになってくれるのならば平気で他人も傷付ける。それが、出来てしまう。私は。
皆から見たら綺麗に見えたのかもしれない。
いいや、自分だって見せたいだなんて思わない。
どうしようもなく卑しくて、狡くて、醜い自分を。
一体誰が憧れる?一体誰が受け止めてくれる?
知ったら絶対に離れていってしまう。それだけは嫌だった。一人でいることが好きでも、本当の意味で"一人"が好きなわけじゃない。
21Res/20.57 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20