まゆ「恋の病は、不治の病」
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10: ◆tADl8swv.6[sage saga]
2017/06/26(月) 17:16:54.11 ID:EWHuDVZJ0
「怖いんです。もし、これが治ったら……まゆがまゆでいられなくなるみたいで……。まゆと貴方の思い出までもが、『無かったこと』にされてしまいそうで……」

"嫌なこと"として処理するのは簡単だ。
"黒歴史"は忘れろなんて忠言は最もだ。
でも、果たしてそんな言葉で終わらせてしまって良いのか。
無くなったものに、未練がましくしがみついてしまうのは悪いことなのか。
目の前の少女は、それで悩んでいるようだった。

「アイドル、なのに……みんなに、愛されるアイドルにならなきゃいけないのに……私は、また、傷つけたくなってしまうんです。
……消したくないから。
貴方とまゆの『特別』をこの世から、消させはしないから……」

「…………まゆ」

それは、恋の病。彼女のこびりついていた自傷癖を治した恋慕の情は、今度は愛の苦しみとなって再び目覚めさせようとしている。

気が付くとまゆの右手側に一本の柳刃包丁が置かれていた。手を伸ばせばすぐに届く距離だ。鈍い銀色に輝くその矛先が、何処を向いているのかは容易に想像がついた。

諭すべきなのだろう。止めるべきなのだろう。行動するべきなのだろう。
だが、自分はなにもしなかった。
自分の頭で、行動するべきではないと思ったから。


直後。─────放たれた刃は血飛沫を纏った。


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