【ミリマス】ライアー・ルージュ
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6: ◆SESAXlhwuI[saga]
2017/06/16(金) 19:11:55.95 ID:yFIcZ1s10
 でも、絶対に悟られたくない。だから、なるべく自然な笑顔を装って――
「……ん?どうした志保」
 ――そう思っていても、彼は見抜いてしまうらしい。
「別に、何でもないですよ。まったく、プロデューサーさんが心配しすぎなんじゃないですか」
「そうか?困ったことがあったらきちんと俺に頼るんだぞ?」
以下略 AAS



7: ◆SESAXlhwuI[saga]
2017/06/16(金) 19:13:48.61 ID:yFIcZ1s10
「おはよう、美希……危ないから突っ込んでくるのはやめろよ?」
「そんなの、ハニーが受け止めてくれるから問題ないって思うな!」
 元気よく答えたもう一人の大先輩は、頬を彼の胸に押し当てて機嫌良さげに答えた。その姿は、さながら猫のよう。愛らしさに満ち溢れたその姿を、私はそれを心底妬ましく――
 ――え?私……み、美希さんになんてことを。
 自分の思考が理解できない。自分が何をしたいのかが分からない。
以下略 AAS



8: ◆SESAXlhwuI[saga]
2017/06/16(金) 19:15:22.50 ID:yFIcZ1s10
 必死の思いで、言葉を絞り出す。
「何でもないです。ちょっと、今日寝不足なのかもしれないですね」
「寝不足なの?それは大変なの……今度、美希がキモチ良く眠れる方法をデンジュしてあげるね!」
「あ、ありがとうございます……ふわぁあ」
 寝不足であることを強調するために欠伸する……誤魔化せただろうか?そう思って目をやると、春香さんは生暖かい笑みをこぼし、美希さんは同じように欠伸を零していた……ただ、彼だけは真剣な目つきで私を見つめていた。
以下略 AAS



9: ◆SESAXlhwuI[saga]
2017/06/16(金) 19:16:12.55 ID:yFIcZ1s10

―――――
 どうして、こんな風に。
 胸の奥がズキズキと痛む。残念ながら、身体の表面とは違って心臓は触って慰める事なんて出来はしない。いや、心臓が触れたとしても私のこの痛みは癒えることはないのだろうけれど。
 ……すーはー、すーはー。
以下略 AAS



10: ◆SESAXlhwuI[saga]
2017/06/16(金) 19:17:02.32 ID:yFIcZ1s10

―――――

 1、2、3、4、1、2、3、4。
 テンポよく身体を動かそうとする。けれど、身体はついてきてくれない。元から、運動神経は良くないかもしれないけど――
以下略 AAS



11: ◆SESAXlhwuI[saga]
2017/06/16(金) 19:17:48.02 ID:yFIcZ1s10

―――――
 「……ふぅ」
 私は静かに壁にかけてある時計を見る。時刻は7時を指していた。この部屋に窓はないが、なんとなく身体が夜であることを感じ取っている。少し、肌寒くなったからだろうか?
 今日も今日とで自主レッスン。競う相手などはいない。ここにいるのは私一人だ。それも当然だろう、皆と一緒に自主レッスンに取り組んでいたのでは、彼女達より上を目指すことなどできはしない。
以下略 AAS



12: ◆SESAXlhwuI[saga]
2017/06/16(金) 19:18:32.53 ID:yFIcZ1s10
 少し挑発するように、私は口角を上げてみせた。彼からしたら、私はお金を稼いでくる道具でしかない。そんな彼が、わざわざ自分の努力の外で育つのを止めるわけがない。そんな考えだった。
 ――なんでもいいから、邪魔をしないで欲しい。
 そんな意図を分かっているのかいないのか、彼は黙ったままこちらを見つめる。そして、彼はゆっくりと瞬きをした後に、口を開いた。
「……志保、今日どれくらい踊った?」
「関係ないじゃないですか、そんな事」
以下略 AAS



13: ◆SESAXlhwuI[saga]
2017/06/16(金) 19:19:03.48 ID:yFIcZ1s10
 素っ気なく返す。だからなんだというのだろう。彼からすれば、無理にレッスンさせたというレッテルを貼られる事なく、予定以上にアイドルが成長してくれるのだからよい事ではないのか。
 だが、彼はそんな素っ気ない返答が気に入らなかったらしい。声をかけるかかけないか逡巡した後、静かに私に向けて言葉を投げてきた。
「体に不調はないか?」
「不調なんて出るようならすぐにわかりま――」
「どうした?」
以下略 AAS



14: ◆SESAXlhwuI[saga]
2017/06/16(金) 19:19:38.81 ID:yFIcZ1s10
 ――だが。
「ウソをつくな。志保、足痛めてるだろ」
「え?そ、そんな事は」
「良いから。座って待っててくれ。今、救急箱を用意する」
 そう吐き捨てると、彼は部屋の片隅にある棚から救急箱を取り出した。そして、私が何かを言う前に救急箱を持ったまま近づいてきて、しゃがみ込んだ。
以下略 AAS



15: ◆SESAXlhwuI[saga]
2017/06/16(金) 19:20:05.50 ID:yFIcZ1s10
「なぁ志保。自主レッスンだからって遠慮する事はない。俺に声を掛けに来てくれよ。そうしたら俺が見るから、俺が見ている時だけに、レッスンの時間を限定してくれないか?」
「嫌です。時間が決められてたら、出来るところも出来なくなっちゃうじゃないですか」
「頼むよ。お前が下手に怪我するのなんて、俺は見たくないんだよ」
「別に、いつも怪我するって決まったわけじゃないでしょう」
 知らず知らずのうちに唇を尖らせる。少し、苛立ってきている自分を自覚しつつも、これ以上ちょっかいをかけられるのが耐えられなかった。
以下略 AAS



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