8: ◆SESAXlhwuI[saga]
2017/06/16(金) 19:15:22.50 ID:yFIcZ1s10
必死の思いで、言葉を絞り出す。
「何でもないです。ちょっと、今日寝不足なのかもしれないですね」
「寝不足なの?それは大変なの……今度、美希がキモチ良く眠れる方法をデンジュしてあげるね!」
「あ、ありがとうございます……ふわぁあ」
寝不足であることを強調するために欠伸する……誤魔化せただろうか?そう思って目をやると、春香さんは生暖かい笑みをこぼし、美希さんは同じように欠伸を零していた……ただ、彼だけは真剣な目つきで私を見つめていた。
やめて、私の心を覗かないで。
その視線を見てしまったら、私はきっと今以上に縛られてしまう。
「なぁ、し――」
「そういえば!今日はまだ誰も来てませんよね!じゃ、空いてるレッスンルーム使って自主レッスンしてきます!」
「あっ、おい!待て志保――!」
彼が叫ぶ声を置き去りにして、私はすぐさま扉の向こうに駆け出した。レッスンをしたくて早く来たわけじゃない。昔はそうだったかもしれないが、今はそんな風に思って来たわけじゃなかった。
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