11: ◆SESAXlhwuI[saga]
2017/06/16(金) 19:17:48.02 ID:yFIcZ1s10
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「……ふぅ」
私は静かに壁にかけてある時計を見る。時刻は7時を指していた。この部屋に窓はないが、なんとなく身体が夜であることを感じ取っている。少し、肌寒くなったからだろうか?
今日も今日とで自主レッスン。競う相手などはいない。ここにいるのは私一人だ。それも当然だろう、皆と一緒に自主レッスンに取り組んでいたのでは、彼女達より上を目指すことなどできはしない。
私は、自分が周りより才能がないと分かっていた。いつも憎まれ口を叩いてくるような同期も、歌を歌うのが大好きな同期も、それぞれ何か光るものを持っていたのに。私には、決定的に“それ”が欠けていた。
だから、私は人より努力することで、それを何とか補おうと――
「おい」
「!?」
いきなりかけられた声に、肩を思わず震わせてしまう。勢いよく振り向くと、そこには良く見知った顔があった。私はその顔を見て、深くため息をつく。
「……なんですか、プロデューサーさん」
「なんですか、じゃない。志保、まだ帰ってなかったのか」
「別に、アイドルが自主レッスンするのはおかしな事じゃないでしょう?」
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