14: ◆SESAXlhwuI[saga]
2017/06/16(金) 19:19:38.81 ID:yFIcZ1s10
――だが。
「ウソをつくな。志保、足痛めてるだろ」
「え?そ、そんな事は」
「良いから。座って待っててくれ。今、救急箱を用意する」
そう吐き捨てると、彼は部屋の片隅にある棚から救急箱を取り出した。そして、私が何かを言う前に救急箱を持ったまま近づいてきて、しゃがみ込んだ。
「……早く座ってくれないか。負荷をかけたまま、包帯とか巻きたくないんだけど」
「は、はい……」
言葉に込められた、普段とは違う感情に少し震えつつ指示に従う。彼は、靴と靴下を脱がすと、足首を触った。
「……ッ!」
「なんで今更声を殺すんだ。もうバレてるんだから隠す事ないぞ?」
少しだけいつもの調子を戻しつつ、彼は私の治療を終えた。その手際の良さに、私は思わず息をのんでしまう。
「……もう痛くないか?」
「えっ?あ、はい。もう大丈夫です」
「それは良かった」
プロデューサーさんは、少しだけいつもの柔和な笑みを取り戻すと改めて私の方に向き直った。
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