108:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 18:12:29.75 ID:wAEe1nHVO
「ど、どうしよう……曜ちゃん、何かに巻き込まれたんじゃ」
私はさっきの恐ろしい呟きのせいで気が動転してしまい、千歌ちゃんの肩を揺さぶった。
「落ち着いて、梨子ちゃん。曜ちゃんどこにいるか言ってた?」
109:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 18:29:17.00 ID:wAEe1nHVO
千歌ちゃんが花丸ちゃんから聞いた話は衝撃的だった。
「後輩ちゃんのお友達に聞いた話しみたいなんだけど、その後輩ちゃん、被害妄想がたまにあるらしいんだって……」
「被害妄想?」
110:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 18:37:39.56 ID:wAEe1nHVO
後輩ちゃんの家にたどり着いた頃には、辺りは薄暗くなっていた。
家屋や路に灯りが灯っているのに、その家だけは留守のように電気がついていなかった。
「え、ほんとにここ?」
111:名無しNIPPER[sage]
2017/06/04(日) 18:47:13.32 ID:7gLyNLQ7o
oh…
112:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 18:50:22.06 ID:wAEe1nHVO
「梨子ちゃん、どうしよう」
急に弱気になる千歌ちゃん。
「そんなこと言われても、勝手に上がるわけにもいかないし」
113:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 19:00:38.42 ID:wAEe1nHVO
目の前に、黒いローファーがあった。血の流れが速くなる。
耳の奥が脈打っていてうるさい。
でも、これだけじゃ、曜ちゃんの靴だって判別できない。
後輩ちゃんの替えの靴かもしれないのだ。
サイズは、0.5cm違い。ダメだ、サイズを知らない。
114:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 19:09:33.78 ID:wAEe1nHVO
私の疑問は、確信に変わった。
あれは、間違いなく曜ちゃんの靴だった。
そして、居てもたってもいられず、千歌ちゃんの帰りを待たずに、私は静かに家に忍び込んだ。
曜ちゃん。お願い、何事もありませんように。
115:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 19:22:06.16 ID:wAEe1nHVO
物置なら、開ける必要はない。
奥の部屋にすり足で進む。
扉の取っ手に手をかけた。
ぎいっと錆びついた金具の音が、二階に響き渡った。
116:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 19:31:20.53 ID:wAEe1nHVO
「んっ……」
鍵がかかってる。
いない。そうだ、いないんだ。
そう思い込もうとした。
117:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 19:42:39.78 ID:wAEe1nHVO
10分くらいして、千歌ちゃんが戻って来た。
「こんばんわー! あのー、誰もいませんかー!?」
「あのー! 誰かー! いーまーせーんーかー!」
118:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 20:00:02.28 ID:wAEe1nHVO
私たちは待った。何も起こらない事を祈りながら。
待つこと30分。期待外れの物音が、物置から聞こえてきた。
鍵がカチャンと開いた。
私は、すぐに千歌ちゃんにラインを送った。
扉の隙間から、覚悟して、出て来た人物を確認した。
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