梨子「曜ちゃん、怒らないで聞いてね」
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115:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 19:22:06.16 ID:wAEe1nHVO
物置なら、開ける必要はない。
奥の部屋にすり足で進む。
扉の取っ手に手をかけた。
ぎいっと錆びついた金具の音が、二階に響き渡った。

「っ……」

心臓が止まりそうになって、すぐに後ろを見た。
気配はない。
再び、部屋の扉を開ける。
誰もいない。
熱い。手も足も汗だくで、緊張感とともに体力を削る。
ただ、この部屋だけ他の部屋よりもひんやりとしていて。
締め切られた窓が、誰もいなかったと言っているようにも思えたのだけど。
ここだけ、涼しいのかな?
それでも、いなかったことに安堵した、その時、

カタン。

音。体が反り返りそうになった。隣の部屋だ。つまり、物置から。
何。誰か、いるの?
静かに戻る。
恐い。本当に、怖い。手が震えていた。足の力が抜けそうだ。
千歌ちゃんを待っておいた方がいいのでは。
でも、これで確かめて何もなければ、済む話でもあるし。
私は、精一杯の勇気を振り絞って、物置と書かれた扉の取っ手を回した。

ガチャ――開かない。


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