【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」
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73: ◆Z5wk4/jklI[sage saga]
2017/05/21(日) 10:09:00.75 ID:9pse+9K10
>>71
ありがとうございます(ありがとうございます)
>>72
ありがとうございます、創作Pにあまりお話もっていかせるのもどうかなとは思うんですが、
74:名無しNIPPER[sage]
2017/05/25(木) 07:14:09.29 ID:rV4XIh0/o
続き期待
75: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/28(日) 00:05:27.96 ID:Q3fcpmY20
「完璧にやろうとすると固くなる。失敗の数は場数の証だ。恐れずベストを尽くしてこい」
リハーサルを終えた楽屋の中。俺は言いながら、前に並んだ日野茜、荒木比奈、上条春菜、関裕美、白菊ほたるの五人の顔を順に見て行く。
この言葉は先輩の受け売りだった。事務方の俺にも、ライブに立つアイドルたちにも、先輩はそう言って、現場へと送り出していた。
俺は意識的に、少し表情を崩す。
76: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/28(日) 00:07:10.49 ID:Q3fcpmY20
楽屋の扉を開ける。
五人はそれぞれに、自分の衣装やメイクの確認をしていた。
おかしなところのない風景に見えるが、俺はなにか違和感を覚えた。
順に五人を見る。違和感の正体が判った。茜が大人しくしている。
茜は楽屋内に置かれた、舞台の様子を確認できるモニターを真剣な眼でじっと見つめて、小さくひらいた口からゆっくりと息をしていた。
77: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/28(日) 00:09:04.03 ID:Q3fcpmY20
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客席に流れているBGMが小さく聞こえてくる以外はほとんど音のしない、静かな舞台袖に到着する。
集合予定時刻まではまだかなりの時間があった。俺たちが一番の到着かと予想していたが、広い舞台袖の中央に、一人の少女がぽつんと立っていた。
茜たちと同じ衣装を着ている。ということは、スタッフではなくて同じアイドルだ。
78: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/28(日) 00:11:23.33 ID:Q3fcpmY20
「ぐっもーにーん! えぶりばーでぃー!」
スタッフやアイドルたちの緊張感とは対照的に、能天気な高い声が響く。
鼻歌混じりに楽屋口から舞台袖へと入ってきたその声の主は、ショートの金髪碧眼、日本人とフランス人の両親を持つハーフのアイドル、宮本フレデリカだった。
フレデリカは今回の目玉アイドルの一人だ。飛びぬけて明るく、いつも緊張感とは無縁なフレデリカのキャラクターは、男女を問わず広い世代に親しまれている。
79: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/28(日) 00:13:21.68 ID:Q3fcpmY20
「プロデューサー……掛け声、ほんとに伝統なんスか?」
比奈に尋ねられて、俺は首を横に振った。
「やっぱり、そうっスよね……」
80: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/28(日) 00:15:05.78 ID:Q3fcpmY20
俺は俺自身に対して困惑した。なにが起こっているのかわからなかった。
比奈たちユニットのメンバーに囲まれ、待機しているほかのアイドルたちにも囲まれ、俺は茜を目の前にして動くこともできず、喉の奥から細い息だけを漏らしていた。
どうなっているのかわからないまま、とにかく茜の背に手を添えようと、右手を伸ばしたところで、先に比奈たちが茜に駆け寄る。
それぞれが茜の手を取り、肩に手を添えた。
81: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/28(日) 00:17:21.00 ID:Q3fcpmY20
茜たちとともにバルコニーへ上がるステップをのぼる。
バルコニーのゲートの向こうからは開演を待つファンたちの熱気が伝わってくる。
暗幕で区切られたゲートの前に、それぞれのアイドルが立った。
比奈と春菜は川島瑞樹の両翼に。裕美とほたるは佐久間まゆの両翼だ。
俺は直前の茜の件を受けて、念のために茜の入場位置付近に待機することにした。茜と美穂は、美嘉の両翼となる。
82: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/28(日) 00:18:53.01 ID:Q3fcpmY20
「大丈夫っ!」美嘉が二人の頭に手を置く。「今日はうまくいってもいかなくても、アタシたちが主役なんだから、ぜんぶ成功なの! ね!」
そう言って、美嘉は強い瞳で二人を見る。二人の顔に赤みが戻る。
城ヶ崎美香。この一瞬で、ファンだけでなく同じアイドルの心までひとつにする。恐るべきカリスマ。
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