【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」
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77: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/28(日) 00:09:04.03 ID:Q3fcpmY20
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 客席に流れているBGMが小さく聞こえてくる以外はほとんど音のしない、静かな舞台袖に到着する。
 集合予定時刻まではまだかなりの時間があった。俺たちが一番の到着かと予想していたが、広い舞台袖の中央に、一人の少女がぽつんと立っていた。
 茜たちと同じ衣装を着ている。ということは、スタッフではなくて同じアイドルだ。

 少女がこちらを見た。そこで俺もようやくその少女が誰なのか理解する。
 無垢な笑顔が魅力的なショートの黒髪。美城プロダクションのアイドル、小日向美穂だ。
 茜や比奈と同じく、今日のライブが初のステージとなる新人アイドルで、たしか、最初の曲の入場は茜とペアだった。

「小日向美穂です! 今日は、よろしくおねがいします!」

 美穂が深く頭を下げる。五人も同じように返事をして頭を下げた。茜の声はその中で飛びぬけて大きい。
 開演まではBGMを流しているから心配はないと思うが、客が入り始めている客席に聴こえてしまわないか不安になるほどだ。

「私、今日が初めてのライブで……みなさんにご迷惑をかけないよう、いっしょうけんめい頑張りますので、よろしくおねがいします!」

「美穂ちゃん! 今日はがんばりましょう!」茜が嬉しそうに言った。「おたがい初めてどうし! 記念すべき第一歩です! ボンバー!」

 腕を振り上げる茜。それに驚いたのか、美穂の肩がびくりと跳ねた。
 全体曲のレッスンの機会で茜と美穂はすでに打ち解けているようだ。

「アタシも初めてのライブっス。緊張するっスね……お互いはじめてどうし、がんばりましょー」

 比奈がゆるく挨拶する。緊張すると言っていたが、固くなっている様子はない。心配はなさそうだった。
 茜もやや興奮気味だが、一見しておかしな様子はない。
 春菜、裕美。ほたるの三人は規模の大小はあれどライブは経験している。問題はないだろう。

「まだ余裕はあるから、入場口を確認しておくといいだろう。客席に見えないように気をつけろよ」

 俺が言うと、五人と美穂はそれぞれ、自分の入場場所を確認に走った。
 そのあいだに、楽屋から舞台袖へと移動してくるアイドルはじわじわと増えた。スタッフたちの緊張感もにわかに高まっている。
 バルコニーへ続く階段を見る。茜と美穂が談笑しながら戻ってくるのが見えた。
 続いて、裕美、ほたる、春菜、比奈の順に戻ってくる。その頃には、袖に待機しているアイドルたちも十五人以上になっていた。



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