113: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/10(水) 14:33:14.95 ID:nW+Vca+e0
「司令官…少しだけ、嫌なお話になるかもしれません。
青葉の叔父さんは、ローカル誌の記者だったんですよ。
最初の戦闘の前、民間船が何隻か襲われたじゃないですか?
その船の中に、叔父さんも取材で乗ってて…そこで亡くなってしまいました。
114: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/10(水) 14:35:48.55 ID:nW+Vca+e0
「訊かれるって言うのも新鮮ですねえ、他に何か質問とか無いですか?」
「そうだな…じゃあ次は…変な話で申し訳ないのだけど、恋の思い出とかは?」
嫌な汗が背中を伝ったのは、その時の事でした。
115: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/10(水) 14:37:23.70 ID:nW+Vca+e0
「……そうですねぇ…高校生の時、彼氏がいたんですけど…二股されて、別れちゃいました。」
こんな事を伝えて、どうしたいんだろう。
ひとりにしないでなんて、言える間柄じゃないのに。
116: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/10(水) 14:38:58.03 ID:nW+Vca+e0
「……青葉?」
対面から隣へ移動して、そのまま横になりました。
この前と逆で、青葉が膝枕をしてもらう形で。
117: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/10(水) 14:40:06.87 ID:nW+Vca+e0
今回はここまで。
118:名無しNIPPER[sage]
2017/05/11(木) 01:15:56.66 ID:9xdPayjA0
おつおつ
119: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/15(月) 05:29:44.15 ID:QOyJbMOhO
歌が聴こえる。
どうやら青葉は、しばらく彼の膝で眠っていたようです。
血流なのか、衣擦れなのか。さわさわとした音が波のように頭の奥をくすぐって、意識はまだほわほわとしたままでした。
120: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/15(月) 05:30:35.93 ID:QOyJbMOhO
「…お邪魔しました。じゃあ、部屋戻りますね。」
「君も長旅だったしね、今日はしっかり休んでくれ。」
後は『私』が彼の名前を呼んで、おやすみなさいって言えば。それで今日はお別れ。
121: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/15(月) 05:32:30.67 ID:QOyJbMOhO
その日から数日後、青葉は原付を飛ばしてあの浜辺にいました。
その日はお休みでしたけど、予定の合う人が誰もいなくて。
大岩に座ってイヤフォンを嵌めて、ある音楽を掛けていました。
122: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/15(月) 05:33:23.57 ID:QOyJbMOhO
今日何度目かの、歌の終わりの時です。ふと立ち上がって、後ろを振り向きました。
一瞬の事ですが、その時確かに見えたんです。
夕日を背に、微笑む彼が立っていたのは。
123: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/15(月) 05:34:33.74 ID:QOyJbMOhO
「…隣、座ってもいいですか?」
「いいよ、おいで。」
しれっと体を寄せて、青葉は隣に座りました。
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