119: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/15(月) 05:29:44.15 ID:QOyJbMOhO
歌が聴こえる。
どうやら青葉は、しばらく彼の膝で眠っていたようです。
血流なのか、衣擦れなのか。さわさわとした音が波のように頭の奥をくすぐって、意識はまだほわほわとしたままでした。
今も頭を撫でてくれる感触は、余計に意識を微睡みに沈めて。夢と現とが混濁した世界に、溶けていくみたいで。
そんな中で流れている音楽は、段々と映像のように、青葉をその中に引きずり込むのでした。
“海の果ての果てに君を連れて…”
これ、あの曲と同じ声だ…同じ人なのかな?
そのメロディに身を任せていると、あの日の浜辺が脳裏に蘇ります。
何だかせつなくなって…彼の上着の裾を、きゅっと掴みました。もう狸寝入りも、やめにしなくちゃ。
「ん…__さん、今何時ですか…?」
「起きたのか、まだ1時間も経ってないよ。」
そっかぁ…随分長く寝てた気がしたけど…。もう少しこのままでいたいけど、彼も帰らなくちゃだしね。
……『私』の匂い、これで付いたかな?着替える時にでも、思い出してくれたらいいなぁ。
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