114: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/10(水) 14:35:48.55 ID:nW+Vca+e0
「訊かれるって言うのも新鮮ですねえ、他に何か質問とか無いですか?」
「そうだな…じゃあ次は…変な話で申し訳ないのだけど、恋の思い出とかは?」
嫌な汗が背中を伝ったのは、その時の事でした。
徐々に壊れてく不安。
見てしまった瞬間や、携帯の画面の下卑た会話。
真っ暗な所に突き落とされる気持ち。
あの子と一緒に向かった時の怒り。
トラウマになんて、なってないと思っていました。
それまで思い出しても、せいぜいダメな黒歴史ぐらいにしか思わなかった事。
ガサには、笑い話として話したような事。
なのに、何故でしょうか。
あの時の嫌な感覚が、頭の奥を突き抜けてしまうのは。
ああ…今『私』は、この人を好きだからなんだ。
形はあの時と全然別で、彼はあいつと違って優しい人で。
だけど壊れていて、いつか青葉の前から消えてしまいそうな人。
『私』は、またひとりにされてしまうかもしれない。
今度は心変わりじゃなく、絶対的な『死』という終わりでもって。
その間は、実際は5秒にも満たない時間だったでしょう。
ですがこの時青葉には、こんな思考を回せる程に長く感じられました。
やろうと思えば上手くけむに巻いて、適当に誤魔化せる話で。
でも青葉は…はぐらかすと言う選択肢を、取る事が出来なくて。
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