■■「島村卯月、頑張りますっ」
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28:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:14:10.24 ID:JSGxJH370
 その言葉で、理解しました。
 この人は、『島村卯月』にシンデレラガールの称号を与えた人だ。とっくに、違和感になんて気が付いていたんだと。
「私は……あなたが知っていた『島村卯月』じゃないんです」
「それでも、だ」
「プロデューサーさんは、私が何番目か分かっているんですか?」
以下略 AAS



29:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:14:52.90 ID:JSGxJH370
 でも、それは勘違いだったんです。

「自分で選んだ役割だ。卯月を見た時から、絶対にアイドルになれると信じた自分の心が望んだ役割なんだ」
 プロデューサーさんの口から出た言葉は、誰かに言われたような定型句ではなくて、絞り出すような……それこそ、血を吐くような気迫に満ちたものでした。
「……え?」
以下略 AAS



30:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:16:08.24 ID:JSGxJH370
 私は――

 映像でしか見たことのない、『島村卯月』のステージを思い出す。
 世界の誰よりも眩しくて、世界の誰よりも力強い。
 そんな絶対の存在が――アイドルが、そこに居ました。
以下略 AAS



31:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:17:11.49 ID:JSGxJH370
 だって、そうだ。
 島村卯月は、ずっとアイドルに憧れていた少女だった。
 たとえ自分がアイドルになったとてしても、アイドルと言う存在が好きなことは絶対に変わらない。
 心に刻まれた、憧れと言う理想に対して手を伸ばし続けることは、絶対に変わらないんです。

以下略 AAS



32:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:18:20.32 ID:JSGxJH370
◇◇◇

 それからも、アイドルとしての日々は続きました。
 お仕事のペースは少しゆったりで、シンデレラガールには少なすぎるとも言われました。
 きっと、管理者の人たちは『島村卯月』を次のシンデレラガールにはしたくないんだと思います。
以下略 AAS



33:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:18:52.82 ID:JSGxJH370
「今回は、緊張していないのかい?」
 本番直前、プロデューサーさんは意地悪な顔をして声をかけてきました。
「そんなこと、ありませんよ。ここで躓いていられないんです」

 そうです。いつまでも同じところで躓いていられません。
以下略 AAS



34:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:19:29.00 ID:JSGxJH370
「プロデューサーさん」
「どうした、卯月」
「指切り、しましょう」
 あの時と同じように、約束をしよう。
「私、『島村卯月』を諦めません……だから」
以下略 AAS



35:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:19:59.66 ID:JSGxJH370
「だから、見ていてください」
 『島村卯月』さん。あなたの姿はとってもキラキラしていて……とても追いつけないくらい眩しい、私の憧れです。
 あなたの背中を追いかけても、追いつけないかもしれない。
 私は、今も憧れを遠くから見ているだけです。
 だけど、『憧れ』は遠くにあるだけじゃなくて、この胸の中で確かに私を突き動かしてくれている。
以下略 AAS



36:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:21:04.29 ID:JSGxJH370
◇◇◇

 そこは、まるで夜の海だった。
 暗い真っ黒な空間に、細いピンク色の灯りだけがぽつぽつと浮かぶ。
 心細くゆらゆらと揺れる灯りは、自分たちを照らしてくれる恒星を待っているようだった。
以下略 AAS



37:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:22:09.97 ID:JSGxJH370
◇◇◇

 街頭の大型モニターに映し出された島村卯月のライブ。それを、遠巻きに一人の少女が眺めていた。
 かつて、『島村卯月だった少女』。あの日、今の『島村卯月』と出会った時のように、フードを深くかぶっている。
 まるで人から逃げるように、怯えたように小さくなっている。
以下略 AAS



38:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:22:40.53 ID:JSGxJH370
以上となります。
お付き合いいただき、ありがとうございました。


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