29:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:14:52.90 ID:JSGxJH370
でも、それは勘違いだったんです。
「自分で選んだ役割だ。卯月を見た時から、絶対にアイドルになれると信じた自分の心が望んだ役割なんだ」
プロデューサーさんの口から出た言葉は、誰かに言われたような定型句ではなくて、絞り出すような……それこそ、血を吐くような気迫に満ちたものでした。
「……え?」
「誰がなんと言おうと、『島村卯月』がアイドルになれると信じたのは自分自身だ。あの時、全身の血が沸き上がるような感覚はいつだって忘れない」
確信に満ちた言葉は、疑う余地もないほどに真剣で……力強くて、温かくて。私の心も、溶けていくようでした。
「ただの少女だった卯月が、絶対にトップになれると思った。それと同じ感覚を、お前からも感じるんだ」
「私、も?」
「ミニライブの時、思ったんだ。これは『島村卯月』のステージじゃない。でも、『島村卯月』に負けないアイドルのステージだって」
私は、ボロボロだと思っていたステージ。成功はしたけど、『島村卯月』には遠く及ばないと思ったあの日だけど……
「自分の心を決められるのは、自分自身だけだ。それは、誰にだって譲らない」
それは、この人の希望になっていた。
「島村卯月、君はどうする?」
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