新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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574: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/04/17(火) 21:20:56.80 ID:7BzTB0Y9O

 今日、私は、第二ウェーブの開始を決意した。

 人間は省みることなく我々亜人への弾圧を加速させている。

以下略 AAS



575: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/04/17(火) 21:22:54.97 ID:7BzTB0Y9O

中野「ネ、ネ……ネブ……」


 中野は手に持ったアナスタシアのCDジャケットと格闘していた。小学校時代に習得したはずのローマ字読みの知識を動員し、〈Nebula sky 〉なるアルファベットの並びから、どうにか意味を汲み取ろうと必死になっている。
以下略 AAS



576: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/04/17(火) 21:24:47.66 ID:7BzTB0Y9O

 三人を乗せた車は高架下の駐車場に停めてあった。道路を行き来する車はなく、高架は屋根のように覆い被さっていた。高架の両側に並んだ平屋の民家も、近くにある踏み切りも、深夜なので真っ暗闇に呼応するように沈黙していた。音がしているのは永井たちがいる車の中だけだった。

 スピーカーの音量は絞ってあったが、中野とアナスタシアがぺちゃくちゃくっちゃべっていて、これが永井にはうるさかった。歌詞の解釈やレコーディング時の裏話などをアナスタシアは嬉々として語った。中野はふんふんと頷きながら感心したように話を聞いていた。アイドル本人が後部座席から歌っている曲の解説をしてくれるのがどれほど幸福なのか、中野はよくわかっていない。

以下略 AAS



577: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/04/17(火) 21:26:31.44 ID:7BzTB0Y9O

 幼いころは姉と遊んだ、トランプとかボードゲームとかで。こういったテーブルゲームの類いで姉と対戦したとき、永井の記憶では、いつも自分が勝っていた。それは、けっして負けがくやしくて忘れ去ったわけではなく、事実負けたのは最初の数回くらいで、あとは全部勝っていたからだった。

 美波は負けず嫌い。つまり熱しやすい性格だった。だから、敗色が濃くなってきたときにチャンスのようなものをそっと差し出してみると、すぐに飛びついてくるのだった。そこに罠を仕掛ける。あるいは、ほんとうにチャンスを差し出す。二回、三回と、逆転の可能性をちらつかせ、こちらもそれを必死にものにしようという懸命さをみせ、接戦を演じてみせる、確実に勝てる切り札を手札に隠しながら。そうすると、美波は地雷を踏んでしまったかのように負けてしまうのだ。

以下略 AAS



578: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/04/17(火) 21:27:53.33 ID:7BzTB0Y9O

 九月初めの夕暮れ時。濃いオレンジ色の夕陽に照らされて、走るふたりの影がのびる。全力疾走は十回を越える。ついに永井が音をあげた。半分怒ってもいる。美波は水筒から麦茶をごくごく飲んでいた。勝利を味わうように。起き上がった永井はぷいと背かを向け家へと歩いていく。ドアを開けたところで、美波から声がかける──「ねえ待って、まだあと三十回は……」──永井はドアを閉めた、ばたんと大きな音がした。

 その後、姉弟のあいだでゲームが行われたことは一度もない。

以下略 AAS



579: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/04/17(火) 21:29:30.40 ID:7BzTB0Y9O


アナスタシア「ひどいことを言っちゃ、ダメです」


以下略 AAS



580: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/04/17(火) 21:31:02.58 ID:7BzTB0Y9O


永井「おばあちゃんのトコにいたかったな」


以下略 AAS



581: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/04/17(火) 21:52:11.84 ID:7BzTB0Y9O

永井「暗殺リストが公開されたいま、佐藤と戦うなら待ち伏せがベストだけど、こいつの容姿は目立つ。不向きこの上ない」

中野「暗殺リストってなんだよ?」

以下略 AAS



582: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/04/17(火) 21:54:28.10 ID:7BzTB0Y9O

アナスタシア「いたい!」

中野「いてっ」

以下略 AAS



583: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/04/17(火) 21:56:41.37 ID:7BzTB0Y9O
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584: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/04/17(火) 21:59:23.16 ID:7BzTB0Y9O

アナスタシア「アヂン、ナッツァッチ……じゅういち、人……」


 アナスタシアは数を数えてみた。十一人分の命、十一人分の命がゼロになったときのことを考える、そのときはもっと多くの、夥しいと言っていいほどの命が消える、そんな事態が起きる、ほとんど確信にちかい思い、ふと《戦争》という言葉が頭をよぎった、それは文章になった、それを読んだのは誰かの肩ごしから、──パパ? ママ? グランパかグランマ? それとも、まったく別の人? フミカもよく本を読んでるけど、覗きこんだことはないからちがうはず──こんなふたつの文章を。
以下略 AAS



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