581: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/04/17(火) 21:52:11.84 ID:7BzTB0Y9O
永井「暗殺リストが公開されたいま、佐藤と戦うなら待ち伏せがベストだけど、こいつの容姿は目立つ。不向きこの上ない」
中野「暗殺リストってなんだよ?」
永井「なんだよ、アイドルって。しかもけっこう有名だし……」
うつらうつらしていた永井はすこし意識をはっきりさせ、中野に答えを返さず、そして、アナスタシアのみてくれを貶しはじめた。
ロシアでも日本でも、その容姿をもの珍しく見られたり、実際に言われたりしてきたアナスタシアだが、待ち伏せに向かないからという理由で文句を言われたのははじめてだった。これには戸惑った。が、アイドルのことまで永井が文句をつけ始めると、さすがに抗議のひとつでもあげようという気持ちになった。放っておいたらまた何を言われるかわからない。アナスタシアは決心した。永井の頭をかるくはたいてやろう。痛くしないから、そんなに怒らないはず。言っただけではきかないのは目に見えてるし、それに、これまで永井にされたことを思えばはたくくらいはやってもいいと思う。
アナスタシアはてこずりながら、警戒し威嚇する野良猫をそっとなでようとするときのように、永井の頭の上にゆっくり手を持ってきた。そして一瞬だけ手をとめ、それから意を決してふっと手を振り下ろす。ハンカチのように頭におろされるはずだったアナスタシアの右手は、永井によって思いっきり弾かれた。柏手の音が車内に響きわたった。アナスタシアの右手はぐんと半回転し、運転席の中野の額を打ちつけた。
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