新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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577: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/04/17(火) 21:26:31.44 ID:7BzTB0Y9O

 幼いころは姉と遊んだ、トランプとかボードゲームとかで。こういったテーブルゲームの類いで姉と対戦したとき、永井の記憶では、いつも自分が勝っていた。それは、けっして負けがくやしくて忘れ去ったわけではなく、事実負けたのは最初の数回くらいで、あとは全部勝っていたからだった。

 美波は負けず嫌い。つまり熱しやすい性格だった。だから、敗色が濃くなってきたときにチャンスのようなものをそっと差し出してみると、すぐに飛びついてくるのだった。そこに罠を仕掛ける。あるいは、ほんとうにチャンスを差し出す。二回、三回と、逆転の可能性をちらつかせ、こちらもそれを必死にものにしようという懸命さをみせ、接戦を演じてみせる、確実に勝てる切り札を手札に隠しながら。そうすると、美波は地雷を踏んでしまったかのように負けてしまうのだ。

 たかがゲームだから、姉といえど、その感情を利用することにとくにためらいはなかった。永井からしてみれば、感情をよくあらわした美波の表情は手札のカードとおなじようなもので、見えるものを見えないふりするつもりなどまったくなかった。そうやって永井は姉とのゲームで勝ちを積もらせていったが、その結果、とんだしっぺ返しをくらうことになった。

 美波は負けを清算するため、フィジカルな勝負に切り替えた。家の前の道路での競争。いやがる弟を、姉が持つ強制力、先に生まれたというだけで持てる力をつかって外に引っ張りだし、せーので角のところまで駆け出す。当然、美波が勝つ。年上だし、運動するのが好きだからだ。かけっこは一回では終わらない。それまで負けた分を取り返すべく、何度もよーい、どん、で走り出す。



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