575: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/04/17(火) 21:22:54.97 ID:7BzTB0Y9O
中野「ネ、ネ……ネブ……」
中野は手に持ったアナスタシアのCDジャケットと格闘していた。小学校時代に習得したはずのローマ字読みの知識を動員し、〈Nebula sky 〉なるアルファベットの並びから、どうにか意味を汲み取ろうと必死になっている。
中野「ネブラ……スキ、カ?」
しばらく眼を凝らしていると、中野の頭のなかでひらめきが起こった。そいつはどう考えてもぴったりくる答えだった、それ以外考えられない、だから歌詞の内容もすっぽり抜け出した、なんてったって英語なのが最大のヒント、いや答えそのものだ。
中野「あっ、そうか、アメリカか!」
アナスタシア「ニェット……アーニャ、ロシアと日本のハーフです……」
アナスタシアがすかさず訂正する。その声には、わずかながらに無意識の失望の色が滲んでいた。
永井「スペルがちがうだろ。〈Nebula〉は星雲って意味だ」
意外にも永井がアナスタシアに味方するように中野に注意した。中野は永井のほうを向いた。
中野「せいうんって……線香の?」
ふたりの脳内で同時にコマーシャルソングのメロディーが再生された。「幸せの青い空」という歌詞もいっしょに。
永井「……それでいいよ、もう」
アナスタシア「よくないです!」
アナスタシアの叫び声が車中に響いた。永井はうるさく思った。もう、すっかり夜だった。
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