新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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579: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/04/17(火) 21:29:30.40 ID:7BzTB0Y9O


アナスタシア「ひどいことを言っちゃ、ダメです」


 アナスタシアは頭を突きだし、大声を出した。その顔は永井のすぐ横にあり、青い眼が永井の耳の穴と直線で結ばれた。アナスタシアはヘッドレストを両手で掴み、あごを親指の付け根のあたりに置いて支えていた。

 永井はいきなり座席を倒した。勢いよく倒れこんでくる背凭れにはね飛ばされ、アナスタシアは前後部の座席に挟まれるかたちとなった。

 アナスタシアはうーうー呻きながら、抗議の声をあげた。


アナスタシア「ウー、せまい! ケイ、せまくてくるしい、です」

中野「いじわるすんなよ」


 中野はガキのケンカをながめるときのような心持ちで言った。永井は眠りにつく寸前のような面持ちで、その言葉を無視した。座席の背もたれをアナスタシアがぐいぐい押してくる。永井が座席自体を後ろにスライドさせる。隙間はいっそう狭まり、アナスタシアの身動きは完全に封じ込まれてしまう。

 そこまでやったところで、永井は閉じていた瞼をふっと開いた。


永井「なんかめんどくさくなったきた」


 自分のやったことが急に馬鹿馬鹿しくなったのか、永井はそうつぶやいてから、座席の位置を戻した。背もたれは倒れたままだったが、息がつまるほどの狭さがすこしはましになった。



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