新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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444: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/09/25(月) 20:57:24.56 ID:4fkctst+O

 この客室乗務員も、新人の彼女と同じように、ハイジャックが起きたのが信じられないという気持ちがあった。ーー日本で?こんな日に?今日は水曜日で、晴れた日でフライトも順調なはずだった。乗客の数も少なくて、余裕のある業務の日で……ーー 新人の彼女だけじゃなく、わたしも仲間たちもこのように考えているに違いない。でも、こういったことは考えるべきじゃない、たちまち恐怖に支配されてしまう……。客室乗務員は通路を歩きながら、犯人の目的に必死で考えを巡らせる。目的が分かれば、どう対処すればいいか分かるかもしれない。

 午後二時五十三分。客室は思ったより静まっている。そのせいで機体の揺れる音と気流の乱れが恐怖を煽るが、乗客たちはなんとかパニックにならずに済んでいる。同僚たちは中央の列に身を低くして集まっていて、五人の男性と話している。彼らはコックピット奪還に協力の志願をした乗客たちで、そのうち一人は事業用操縦士免許を取得していた。

以下略 AAS



445: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/09/25(月) 21:00:12.26 ID:4fkctst+O

 午後二時五十五分。機内アナウンスから犯人の声が響く。


『Are you guys ready? Let's Roll!』
以下略 AAS



446: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/09/25(月) 21:01:21.09 ID:4fkctst+O

ーー午後三時。


 グラント製薬の社長は左手の親指の爪を切っていた。安心しているというよりは、油断しているといった様子だが、爆破予告した佐藤らは予告した時間になっても現れないのだから、無理もない。グラント製薬の社長ははじめから爆破など不可能だと考えている。
以下略 AAS



447: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/09/25(月) 21:03:03.85 ID:4fkctst+O

ーー午後三時一分。


 送迎車は渋滞に捕まっていて、一向に前進する気配を見せなかった。
以下略 AAS



448: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/09/25(月) 21:04:08.27 ID:4fkctst+O

 三十分くらいたった気がしたとき(実際には五分も過ぎていなかった)、美嘉たちはいままで響き続けていた音が急に音量を増したことに気がついた。音の響きはあきらかに音源の接近を告げていて、窓ガラスが震え出すほどだった。車内のだれもが身の危険を感じ始めたとき、道路に並んだ車列の頭上を旅客機が通過していった。

 それはあまりに現実味のない光景だった。旅客機の速度は時速一〇〇〇キロを少し越えていたが、機体自体は巨大なので、その飛行の様は川を流れる葉っぱの小舟のようにしっかりと眼で追えた。

以下略 AAS



449: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/09/25(月) 21:05:09.57 ID:4fkctst+O

 車内で身を伏せていた美嘉たちがおそるおそる頭をあげ、旅客機が墜落した地点を見ようと首を伸ばす。運転手は車から出ないように三人に注意すると、次の瞬間に車体に雹のような小さな物体が降り注いだ。墜落と爆発の衝撃で空中に高く舞い上げられた旅客機の破片やビルの瓦礫が立ち往生している車列の襲いかかってきたのだ。

 降り注ぐ破片は車のボディに食い込み、フロントガラスを割り、ミラーを破壊する。運転手は声を張り上げ、美嘉たちに伏せるように叫ぶ。そのとき、瓦礫のひとつが弾丸のようにフロントガラスを突き破り、車内に飛び込んでくる。瓦礫が直撃した運転手の頭から血がだらだらと流れる。

以下略 AAS



450: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/09/25(月) 21:06:28.69 ID:4fkctst+O

ーー午後三時三分。


 衝撃音に撮影が中断される。カメラマンは機材を持ったまま外に飛び出し、オフィス街にオープンしたばかりのカフェでレポートを行うかな子、智絵理、きらりの三人をその場に残していく。
以下略 AAS



451: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/09/25(月) 21:08:18.43 ID:4fkctst+O

 カメラマンが機材を真正面に向ける。そこには腕を怪我した女性が血を流しながら、いまにも倒れそうな様子でひょこひょこと歩いている姿が映った。近くには女性と同じ年齢くらいの男性が倒れていた。男性の頭の位置はふつうある場所にから右側にずれていて、肩の上にあった。カメラマンは男性が死亡していることを悟った。その直後、彼女の背後から粉塵の津波がごぉーっという音を立てながら迫ってきた。

 肩に担いだ機材を手にぶら下げ、カメラマンは怪我をした女性のもとまで走った。片手にカメラ、もう片方に女性を抱え、カメラマンはカフェまで走る。粉塵がほとんど水と同じように二人のあとを追いかけてくる。

以下略 AAS



452: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/09/25(月) 21:09:39.33 ID:4fkctst+O

 右上腕のあたりがばっくりと切れ、傷口から下がいまも流れる血で真っ赤に染まっている。右腕だけ赤い死人のような白い女というのが、この怪我をした女性を見た誰もが抱く印象だった。

 女性は同じ姿勢のまままったく動かなかったので、もしかしたら死んでいるのでは、と店内にいる者は思った。

以下略 AAS



453: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/09/25(月) 21:10:23.73 ID:4fkctst+O

『旅客機です、旅客機が墜落したようです』


中野「……」
以下略 AAS



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