新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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451: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/09/25(月) 21:08:18.43 ID:4fkctst+O

 カメラマンが機材を真正面に向ける。そこには腕を怪我した女性が血を流しながら、いまにも倒れそうな様子でひょこひょこと歩いている姿が映った。近くには女性と同じ年齢くらいの男性が倒れていた。男性の頭の位置はふつうある場所にから右側にずれていて、肩の上にあった。カメラマンは男性が死亡していることを悟った。その直後、彼女の背後から粉塵の津波がごぉーっという音を立てながら迫ってきた。

 肩に担いだ機材を手にぶら下げ、カメラマンは怪我をした女性のもとまで走った。片手にカメラ、もう片方に女性を抱え、カメラマンはカフェまで走る。粉塵がほとんど水と同じように二人のあとを追いかけてくる。

 スタッフのひとりが意を決してカメラマンのもとまで飛び出していく。カメラマンはそのスタッフにバトンのように機材を差し出し、受け取らせた。反射的にカメラを受け取ったものの、そのスタッフは当然のことながら怪我人を助ける手助けをするつもりだったので、手渡されたカメラに困惑して一瞬立ち止まってしまう。カメラマンは立ち止まっているスタッフを追い越し走り続け、それに気付いたスタッフもカメラマンのあとに続いた。

 粉塵がカメラマンたちを飲み込んだというまさにそのとき、三人はカフェのなかに転がり込んできた。粉塵を浴びた三人の全身は真っ白になっている。ぜえぜえと息を喘がせるカメラマンとスタッフとは対照的に、女性は沈黙したまま頭を下げ、床に付けていた。



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