444: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/09/25(月) 20:57:24.56 ID:4fkctst+O
この客室乗務員も、新人の彼女と同じように、ハイジャックが起きたのが信じられないという気持ちがあった。ーー日本で?こんな日に?今日は水曜日で、晴れた日でフライトも順調なはずだった。乗客の数も少なくて、余裕のある業務の日で……ーー 新人の彼女だけじゃなく、わたしも仲間たちもこのように考えているに違いない。でも、こういったことは考えるべきじゃない、たちまち恐怖に支配されてしまう……。客室乗務員は通路を歩きながら、犯人の目的に必死で考えを巡らせる。目的が分かれば、どう対処すればいいか分かるかもしれない。
午後二時五十三分。客室は思ったより静まっている。そのせいで機体の揺れる音と気流の乱れが恐怖を煽るが、乗客たちはなんとかパニックにならずに済んでいる。同僚たちは中央の列に身を低くして集まっていて、五人の男性と話している。彼らはコックピット奪還に協力の志願をした乗客たちで、そのうち一人は事業用操縦士免許を取得していた。
乗務員も作戦会議に参加する。膝をついた彼女に、五十代くらいの男性がほんとうに機長たちは殺されたのか? と尋ねてくる。乗務員の頷きに、若い男性客が同意する。彼は機体前方の席にいてコックピットから聞こえる叫び声を聞いていた。乗務員はコックピットの扉が固定され開かないようになっていると説明する。ハイジャッカーはドアロック切断してコックピットに侵入している。ならば、いまドアを固定しているものは簡易的なもので、カートを破壊槌代わりに使えば突入できるだろうと一同は結論づけた。
犯人は何人いるんだ、と男性客の一人が乗務員に尋ねる。乗務員はコックピットにいるのは一人で、年齢や身長、服装などを皆に伝える。ハイジャッカーの特徴を語りながら、客室乗務員はどこかで犯人のことを見た気がする。
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