448: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/09/25(月) 21:04:08.27 ID:4fkctst+O
三十分くらいたった気がしたとき(実際には五分も過ぎていなかった)、美嘉たちはいままで響き続けていた音が急に音量を増したことに気がついた。音の響きはあきらかに音源の接近を告げていて、窓ガラスが震え出すほどだった。車内のだれもが身の危険を感じ始めたとき、道路に並んだ車列の頭上を旅客機が通過していった。
それはあまりに現実味のない光景だった。旅客機の速度は時速一〇〇〇キロを少し越えていたが、機体自体は巨大なので、その飛行の様は川を流れる葉っぱの小舟のようにしっかりと眼で追えた。
墜落の瞬間は落下軌道ほど持続的なものではなかった。それはカメラを通してはじめて視覚で認識できるものだった。旅客機がビルに真上から突っ込むまでの十五秒の映像は、このあとインターネット上で何度も再生される。
鼓膜が破れるかと思うほどの轟音のあとに、爆発と黒煙が続く。黒煙が上空にのぼり、白い雲と混じっていく。
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