勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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77:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:46:24.04 ID:09+TUdRc0
78:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:47:14.73 ID:09+TUdRc0
勇者「『呪文・大回復』!!」
密かに紡いでいた回復の魔力を勇者は己の右腕に輪転させる。
完全回復というわけにはいかないが、何とか機能を取り戻した右手も使って、勇者は両手で騎士の体を掴んだ。
79:名無しNIPPER
2016/02/28(日) 19:47:33.08 ID:X/H49ZFo0
更新来てる?
80:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:47:40.12 ID:09+TUdRc0
僧侶「ううう…! うぐ…ふぐ…!!」
子供のように泣きじゃくりながら、僧侶は勇者に回復呪文をかけ続ける。
彼女は知っている。勇者が痛みを病的なまでに嫌っていることを。
彼女は思い知っている。それでも勇者は、いざという時には他人の為に自分を犠牲にしてしまうことを。
81:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:48:41.23 ID:09+TUdRc0
雷が落ちる。
既にその数は十を超えている。
二人の男はもはや声を上げもしない。
ただ歯を食いしばり、耐え凌いでいる。
目の前の男が先に倒れるのを待っている。
82:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:49:13.61 ID:09+TUdRc0
勇者「『呪文・大雷撃』ッ!!!!」
失いそうになる意識を必死でつなぎ止めながら、勇者は叫ぶ。
新たな雷が己の体を打った。直後に、僧侶の回復呪文が飛んでくる。
それによって痛みは多少マシになる―――が、すぐに新しい雷が体を打つ。
83:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:50:05.27 ID:09+TUdRc0
高名な父の元に生まれ、ただその跡継ぎとしての人生を求められた
『世界を救う』なんて大役を周囲から押し付けられて生きてきた
84:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:50:42.06 ID:09+TUdRc0
あっさりと自分の真逆の道を行く奴が目の前に現れた
85:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:51:12.44 ID:09+TUdRc0
勇者「騎ィィィィィ士ィィィィィイイイイイイイイイ!!!!!!!」
騎士「勇ゥゥゥゥゥ者ぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!!」
一際眩い雷光が二人の体を貫いた。
86:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:51:50.46 ID:09+TUdRc0
騎士「クッソ…! 離せぇッ!!」
騎士は己の腕を掴んで剣を固定する勇者の体を必死で蹴り飛ばした。
十全の状態の騎士ならば、それだけで勇者の体を爆散させることも可能だっただろう。
だが今は、二度の蹴りでようやく勇者の体から剣を引き抜くのがやっとという有様だった。
87:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:52:49.07 ID:09+TUdRc0
騎士は一度勇者に対して精霊剣・湖月を構えたが、ふっ、とその顔に笑みを浮かべると剣を下ろした。
騎士「参ったぜ、勇者。俺の負けだ」
そう言って、騎士はその場に座り込んでしまった。
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