勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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408:名無しNIPPER[saga]
2016/11/06(日) 01:21:37.44 ID:ZSsiH8ra0
ここに至り、ようやく彼は自身の置かれた状況について理解が及んだ。
そう―――――『始まりの国』において、もはや彼の存在は神格化しており、彼の発言、行動は全てが是とされてしまう。
例えどんなに荒唐無稽な政策を王に具申したって、王はそれを実施するだろう。
409:名無しNIPPER[saga]
2016/11/06(日) 01:22:13.08 ID:ZSsiH8ra0
大魔王城大広間に剣戟の音が木霊する。
剣を交えているのは『伝説の勇者』とそのかつての愛弟子である戦士だ。
戦士「つああッ!!!!」
410:名無しNIPPER[saga]
2016/11/06(日) 01:23:04.63 ID:ZSsiH8ra0
伝説の勇者「勇者…!」
勇者「……」
父と子の持つ剣が拮抗する。
411:名無しNIPPER[saga]
2016/11/06(日) 01:23:35.36 ID:ZSsiH8ra0
無言で駆け出した勇者はその勢いのままに『伝説の勇者』に剣を叩き付ける。
伝説の勇者「まだわからないのか勇者!! お前達の剣は、決してこの私には届かない!!」
力量差を殊更に誇示するためであろう。『伝説の勇者』は勇者の全身全霊の剣を片手一本で受け止めた。
412:名無しNIPPER[saga]
2016/11/06(日) 01:24:12.17 ID:ZSsiH8ra0
『伝説の勇者』は倒れた。
まだ息はあるものの、そう長くは保つまい。
戦士の目からは大粒の涙が溢れだしていた。
戦士は自分の目から溢れるソレを、怪訝な表情で拭った。
戦士は自分の涙の正体を自分自身掴めず、ただ困惑していた。
413:名無しNIPPER[saga]
2016/11/06(日) 01:24:41.59 ID:ZSsiH8ra0
414:名無しNIPPER[saga]
2016/11/06(日) 01:25:12.40 ID:ZSsiH8ra0
伝説の勇者『ぐ…う……』
大魔王『まだ立とうっていうのか? やめとけよ。力の差はもう十分理解しただろう』
伝説の勇者『黙れ…俺は負けない……負けるわけにはいかないんだ……』
415:名無しNIPPER[saga]
2016/11/06(日) 01:26:18.34 ID:ZSsiH8ra0
大魔王『……とまぁ、こんなところだ。魔界のクソッタレな現状ってのが少しでも伝わってくれたのならありがたい』
伝説の勇者『まさか…そんな……』
大魔王『―――俺は魔界を救う。その為にお前の力を貸せ。「伝説の勇者」よ』
416:名無しNIPPER[saga]
2016/11/06(日) 01:26:56.63 ID:ZSsiH8ra0
おいおい、そんな暗い顔をするな。
417:名無しNIPPER[saga]
2016/11/06(日) 01:27:33.90 ID:ZSsiH8ra0
ぴくり、と『伝説の勇者』の指が動いた。
その手が地面に打ち捨てられた己の剣を取る。
伝説の勇者(そうだ……何もかも、生きていてこそだ)
418:名無しNIPPER[saga]
2016/11/06(日) 01:28:18.78 ID:ZSsiH8ra0
すまない。すまない。すまない。
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