勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
↓ 1- 覧 板 20
272:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:21:06.62 ID:Trw4ei5x0
気付けば、夜になっていた。
特訓広場にはもう誰も居ない。
勇者は自分の家に足を向けた。
玄関の扉を開け、中に入る。鍵はかかっていなかった。
勝手知ったる廊下を歩き、見慣れた扉を開けて中を覗き込む。
273:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:21:41.52 ID:Trw4ei5x0
旅に出た。
旅路の途中で、魔物に襲われていた村を救った。
274:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:22:46.04 ID:Trw4ei5x0
パチパチパチ――――
聞こえてきた拍手の音に、勇者は伏せていた顔を上げる。
途端に、怒号のような拍手喝采が勇者に向かって贈られた。
勇者「な、は、へ…?」
275:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:23:24.14 ID:Trw4ei5x0
276:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:24:44.72 ID:Trw4ei5x0
勇者「うるせえってんだよ!! ふざけんな!! 俺は俺だ!! あんなクソ野郎の息子なんかじゃねえ!! 俺なんだ!!」
勇者「もういいよ! やってらんねえ!! 『あんな奴の息子』なんて、もうやってられっか!! 知ったこっちゃねえ! 俺は、俺の生きたいように生きてやる!!」
勇者「は、ははは…! そうだ、すぐに元の世界に戻ってハーレムを作ってやろう!! 俺が本気で口説けば、女なんかいくらでも寄ってくるぜ!! 何せ俺は『伝説の勇者』様の息子なんだからな!!」
277:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:25:39.42 ID:Trw4ei5x0
汚泥の中で、勇者はカッと目を見開いた。
勇者「『呪文・大烈風』!!!!」
勇者の周囲から爆発的な風が生じた。
278:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:26:40.68 ID:Trw4ei5x0
戦士「勇者ッ!?」
勇者「何を驚く? 俺は何か間違ったことを言っているか? 『伝説の勇者の息子』としてやるべきことは、もうこれしかないだろう」
勇者「ああ、もちろんついてこいなんて言わないさ。むしろついてこなくていい。戦士にはそんな責務は無いんだからな」
279:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:27:49.57 ID:Trw4ei5x0
バヂィィィィン!! と凄まじい音が響く。
もんどりうって背中から倒れた勇者の襟首を、戦士は掴み上げた。
戦士「ふざけるな……ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな!!!!」
280:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:29:06.96 ID:Trw4ei5x0
戦士「巨大ゴキブリから私を庇ってくれた時、いちいち『伝説の勇者の息子』ならこうするなんて考えていたか?」
281:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:29:40.14 ID:Trw4ei5x0
282:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:30:39.19 ID:Trw4ei5x0
しばらく勇者は、ぼうと呆けて戦士の顔を見つめていた。
戦士の言葉の意味がゆっくり脳味噌に浸透するにつれて、勇者の顔にも赤みがさしていく。
戦士「私はお前を愛している。勇者」
758Res/394.23 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20