勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
↓ 1- 覧 板 20
277:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:25:39.42 ID:Trw4ei5x0
汚泥の中で、勇者はカッと目を見開いた。
勇者「『呪文・大烈風』!!!!」
勇者の周囲から爆発的な風が生じた。
まるで火山の噴火のように、巻き上げられた毒の汚泥が地面から噴出する。
戦士「……あれは!!」
その様を、荒野を駆ける戦士は目撃した。
一縷の望みをかけ、方向を転換し、戦士はその沼に向かって走り出す。
勇者の呪文により巻き上げられた泥は周囲に撒き散らされ、沼があった場所はぽっかりと地面に穴が空いたような形になった。
勇者は泥の無くなった沼底を歩き、毒の沼からの脱出を果たす。
そこに、折よく戦士が駆け寄ってきた。
戦士「勇者ッ!! ……うっ」
戦士は勇者の姿を見て顔を顰めた。
長時間毒に晒されていた勇者の体は、至る所が焼け爛れ、正視に耐えない状態になっていた。
戦士「あ、ああ……! すぐに、すぐに治療を……」
慌てふためいた戦士は荷物から薬草を取り出し、勇者の傷口に当てようとする。
勇者はそれを手で制した。
勇者「『呪文・大回復』」
勇者の体が輝き、見る見るうちに焼け爛れた皮膚が回復していく。
戦士はほっと息をついたが、すぐにハッと思いなおして勇者の顔を覗き込んだ。
戦士「勇者、大丈夫か!?」
勇者「ああ。大丈夫だよ。心配ない」
余りにあっさりと答える勇者に、戦士は逆に不安を募らせた。
戦士(そんなわけがない……そんなに簡単に立ち直れるはずが……)
そうは思っても勇者が大丈夫だと言い張る以上、戦士にはこの件に関してもう何も言えなくなってしまった。
戦士「それで……その……これからどうするんだ?」
戦士は恐る恐る今後の方針について勇者に尋ねる。
勇者の返答は驚くべきものだった。
勇者「さっきの町に戻って親父から大魔王の居場所を聞き出して、大魔王に挑む」
758Res/394.23 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20