勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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280:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:29:06.96 ID:Trw4ei5x0
戦士「巨大ゴキブリから私を庇ってくれた時、いちいち『伝説の勇者の息子』ならこうするなんて考えていたか?」
戦士「盗賊の所業に対して怒りを感じた時、『伝説の勇者の息子』ならここは怒りを感じるべきだ、なんて思ったのか?」
戦士「アマゾネスのハーレムに鼻を伸ばしていたお前は? エルフ少女と酒を酌み交わし、げらげらと笑っていたお前は?」
戦士「端和で義憤に燃えたお前は? 騎士の裏切りに心を痛めたお前はどうだった?」
戦士「獣王にやられた私の為に泣いてくれたのも――――『伝説の勇者の息子』としてか?」
勇者「そ、れ…は……」
戦士「ずっと……ずっとずっと、誰よりも近くでお前を見続けた私が保証してやる。勇者、お前が今までの旅の中で感じたこと、得たものは全てお前自身のもので、そのままお前自身の価値になっている」
戦士「『伝説の勇者の息子』だなんて囃し立てる有象無象は放っておけ。気にするな。お前自身に価値がないなんて、誰にも言わせはしない」
戦士は勇者の肩を抱き、自身の胸から顔を離させる。
そしてしっかりと目と目を合わせ、にこりと微笑んで、言った。
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