勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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265:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:16:29.30 ID:Trw4ei5x0
走った。
266:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:17:12.67 ID:Trw4ei5x0
勇者「はひぃ、ひぐ、うっぐ、うぅ……!!」
勇者は子供のように泣きじゃくっていた。
嗚咽が止まないのに走り続けるから、息が乱れて呼吸もままならない。
苦しくて苦しくてしょうがないのに、それでも勇者は走り続けた。
267:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:17:45.64 ID:Trw4ei5x0
戦士「はぁ…! はぁ…! はぁ…!」
戦士は勇者の影を追って、魔界の荒野を必死に走り続けていた。
しかしどれだけ周囲の景色に目を凝らしてみても、勇者の姿は見当たらない。
完全に戦士は勇者の姿を見失ってしまっていた。
268:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:18:33.15 ID:Trw4ei5x0
勇者(……あれ?)
ふと気付けば、勇者は部屋の中に立っていた。
石造りの床に赤を基調とした絨毯が敷き詰められ、高さ2m超の本棚が列になって並んでいる。
どうやらここは図書室のようだった。
269:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:19:08.23 ID:Trw4ei5x0
風が吹いた。
気付けば景色が変わっていた。
緑の芝生が敷き詰められた公園。
ここは豊作祈願の祭りや国の要人の冠婚葬祭など、色々な催事が執り行われる『始まりの国』の中央広場だ。
そこに、国中の人間が集まって跪いている。
270:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:19:45.05 ID:Trw4ei5x0
これは広場での葬儀からどれ程の時間が経過した時なのだろう。
薄暗い廊下で、あの男の子が息をひそめてとある部屋を覗き込んでいる。
見ているものには想像がついた。
というより、覚えていた。
勇者は男の子の背後に立ち、その子の頭の上から部屋を覗き込む。
271:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:20:11.95 ID:Trw4ei5x0
目の前の情景は、男の子が大の大人に木剣で打ち据えられている状況に切り替わった。
『うげぇ!! がはッ!! ゲホッ、ゲホッ!!』
『何をしてる!! 早く立て!!』
272:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:21:06.62 ID:Trw4ei5x0
気付けば、夜になっていた。
特訓広場にはもう誰も居ない。
勇者は自分の家に足を向けた。
玄関の扉を開け、中に入る。鍵はかかっていなかった。
勝手知ったる廊下を歩き、見慣れた扉を開けて中を覗き込む。
273:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:21:41.52 ID:Trw4ei5x0
旅に出た。
旅路の途中で、魔物に襲われていた村を救った。
274:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:22:46.04 ID:Trw4ei5x0
パチパチパチ――――
聞こえてきた拍手の音に、勇者は伏せていた顔を上げる。
途端に、怒号のような拍手喝采が勇者に向かって贈られた。
勇者「な、は、へ…?」
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