勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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270:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:19:45.05 ID:Trw4ei5x0
 これは広場での葬儀からどれ程の時間が経過した時なのだろう。
 薄暗い廊下で、あの男の子が息をひそめてとある部屋を覗き込んでいる。
 見ているものには想像がついた。
 というより、覚えていた。
 勇者は男の子の背後に立ち、その子の頭の上から部屋を覗き込む。
 そこには男の子の母がいた。
 男の子の母が父の形見である古い剣を抱きしめて泣き崩れていた。
 勇者はちらりと男の子の顔を覗き込む。男の子がこちらに気付く様子はない。
 男の子の顔には、ある決意のようなものが表れていた。

勇者(……やめろ。やめとけ。お前が歩もうとしているその道は、碌なことがありゃしないんだ)

 踵を返し、歩み出す男の子を引き止めようとした勇者の手は、男の子の体をするりと通り抜ける。
 勇者は通り抜けた自分の手のひらを眺め、拳を握り、苦々しく口を歪め、目を瞑った。




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