勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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269:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:19:08.23 ID:Trw4ei5x0
風が吹いた。
気付けば景色が変わっていた。
緑の芝生が敷き詰められた公園。
ここは豊作祈願の祭りや国の要人の冠婚葬祭など、色々な催事が執り行われる『始まりの国』の中央広場だ。
そこに、国中の人間が集まって跪いている。
広場の中央には、参列者の献花によって色とりどりの花が並べられていた。
勇者(これは…親父の葬式の時の……)
魔界へ消えて消息を絶ち、三ヶ月が経って―――『伝説の勇者』は死亡したものと国で認定された。
その葬儀は国を挙げて大々的に行われ、ほとんどの国民がここ中央広場に集まり、涙を流して嘆き悲しんだ。
『おお…! 信じられない……何という事だ……!』
『これから、世界はどうなってしまうんだ……!』
悲しみに背中を丸める人々を、一歩引いたところから俯瞰して眺める男の子がいた。
勇者(……何て顔してんだよ)
男の子の顔もまた、悲しみに歪んでいる。
だけどそれは、『伝説の勇者』の死を悼むというよりは―――悲しみ嘆く人々の様子に胸を痛めているように思えた。
勇者(いいんだよ。気にすんな。そんなこと気にしたって―――――馬鹿を見るだけなんだから)
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