勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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12:名無しNIPPER[saga]
2016/01/31(日) 21:42:50.64 ID:zBP9Ql630
強くなったつもりだった。
多くの敵を倒し、沢山の神殿を解放して、出来る限り力をつけたつもりだった。
実感はある。
獣王との決着をつけたあの日の時点と比較しても、あの世界樹の森での体験を経て自分の力は跳ね上がっている。
獣王にも到底敵わないと武の国諸侯の前で嘯いてはみたものの、その実、やりようによっては独力で打倒できるのではと思えるほどには自身に自信をつけていた。
13:名無しNIPPER[saga]
2016/01/31(日) 21:43:36.62 ID:zBP9Ql630
騎士「茶番はよせよ、勇者」
騎士は呆れたように勇者にそう声をかけた。
勇者の肩がピクリと震える。
14:名無しNIPPER[saga]
2016/01/31(日) 21:44:21.14 ID:zBP9Ql630
15:名無しNIPPER[saga]
2016/01/31(日) 21:45:05.02 ID:zBP9Ql630
滑稽な父親の死に様が愉快だった。
泣き叫ぶ同僚にとどめを刺すのは爽快だった。
16:名無しNIPPER[saga]
2016/01/31(日) 21:45:55.47 ID:zBP9Ql630
退屈が嫌いだった。
人生を半分無駄にした分、これからを楽しまなきゃという気持ちが強かった。
17:名無しNIPPER[saga]
2016/01/31(日) 21:46:50.69 ID:zBP9Ql630
一応、余計な波風を立たせないために魔王城内では仮面で顔を隠していた。
魔王の新たな側近、『暗黒騎士』の正体が魔王城を半壊に追い込んだ人間だと知るのは、魔王の他には獣王といったごく一部の魔物だけだった。
18:名無しNIPPER[saga]
2016/01/31(日) 21:47:36.13 ID:zBP9Ql630
『伝説の勇者』の息子がこの町に居ると聞いて、正直言ってかなりテンションは上がっていた。
親父が目の敵にしていた『伝説の勇者』。
19:名無しNIPPER[saga]
2016/01/31(日) 21:48:45.82 ID:zBP9Ql630
だから『武の国』で再会した時は本当に驚いた。
あの程度の力量しか無かったのに猫ちゃんの手から逃れたのもそうだし、何より勇者は面白おかしい事になっていた。
20:名無しNIPPER[saga]
2016/01/31(日) 21:49:25.94 ID:zBP9Ql630
故障品―――そんな言い方をしたが、実際の所、勇者はこの時点で半ば壊れかけていた。
このまま壊れてしまうのは、余りに勿体無い。そう思って励ました。
21:名無しNIPPER[saga]
2016/01/31(日) 21:50:13.04 ID:zBP9Ql630
見たい。それはすごく見たいなあ。
22:名無しNIPPER[saga]
2016/01/31(日) 21:51:15.06 ID:zBP9Ql630
勇者「面白そう……か。そうだな。お前はそういう奴だよな」
騎士「本当はな、お前と一緒に魔王の所に行って、そこで正体をばらすつもりだったんだよ。その時のお前の顔を見るのが楽しみだった」
勇者「だけど、先に俺が気づいてしまった……残念だったな。お望みの顔が見れなくて」
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