勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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22:名無しNIPPER[saga]
2016/01/31(日) 21:51:15.06 ID:zBP9Ql630
勇者「面白そう……か。そうだな。お前はそういう奴だよな」
騎士「本当はな、お前と一緒に魔王の所に行って、そこで正体をばらすつもりだったんだよ。その時のお前の顔を見るのが楽しみだった」
勇者「だけど、先に俺が気づいてしまった……残念だったな。お望みの顔が見れなくて」
騎士「まあ、それ以前にこんな『宝術』なんてもんを引っ張り出された時点でご破算だわな。まさか勇者以外の人間でも魔王を倒せるようになるなんてよ」
騎士「どうするかすげえ迷ったんだぜ〜? それでまあ、エルフ少女を殺して、俺をエルフ少女の傍に配置したことを後悔するお前の顔を見て良しとしようと思ったわけだ。それも全部お前の手のひらの上だったわけだけどな」
もはや本性を隠そうともしない騎士に、勇者は呆れ混じりの笑みを浮かべる。
いや―――違うのか。勇者はこれまでの騎士の言動を思い返す。
騎士は元々本性を隠してなんていなかった。
この男はいつだって倫理を無視して自由奔放に、好き勝手に振る舞って来た。
自分の利益が最優先―――その本質を、騎士はいつだって大っぴらにしてきた。
今はただ、今まで言ってなかったことを言っているだけ。
勇者「分かったよ、騎士」
勇者は騎士に向かって言う。宣言する。
勇者「迷いはもう無くなった。俺はお前を殺すよ。容赦はしない」
騎士「おう、どんと来い」
勇者の言葉を受け止めて、騎士は不敵に笑った。
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