映画の脚本を書いて、ひとりの女の子と出会った話。
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42:名無しNIPPER[saga]
2024/08/15(木) 23:45:20.49 ID:e+s7r/2n0
「あの、もしかしてヒツジさんですか?」
適当に入ったクレープ屋で
赤いキャップを被る女の子に声をかけられ、
43:名無しNIPPER[saga]
2024/08/15(木) 23:46:02.17 ID:e+s7r/2n0
「……すみません、ああいう時どうすればいいか分からなくて」
休憩所に設けられた椅子に座ると、
彼女はそんなことを呟いて隣で項垂れていた。
44:名無しNIPPER[saga]
2024/08/15(木) 23:48:13.07 ID:e+s7r/2n0
「映画の評判は割と良いみたいだな」
ちらほらと飛び込んでくる感想は賞賛のものが殆どだった。
「そうみたいですね」
45:名無しNIPPER[saga]
2024/08/15(木) 23:49:37.99 ID:e+s7r/2n0
「もう脚本は書かないんですか?」
「さあ、どうだろう」
正直なところ、もう書く気はなかったけれど
46:名無しNIPPER[saga]
2024/08/15(木) 23:50:05.82 ID:e+s7r/2n0
俺は彼女の横顔に何かを言いかけたが、
そのままその言葉を飲み込んだ。
彼女になんて言えばいいのか
47:名無しNIPPER[saga]
2024/08/15(木) 23:52:13.02 ID:e+s7r/2n0
「……実を言うと、はじめは出るつもりはなかったんです」
「え?」俺は思わず彼女の方を見た。
48:名無しNIPPER[saga]
2024/08/15(木) 23:53:35.64 ID:e+s7r/2n0
「……すこしは変われたか?」と俺は尋ねた
「そうですね、ほんのすこしだけ」
ヒツジはそう言って爽やかに笑った
49:名無しNIPPER[saga]
2024/08/15(木) 23:54:24.43 ID:e+s7r/2n0
――そうして、文化祭は終わりを迎えた。
50:名無しNIPPER[saga]
2024/08/15(木) 23:58:33.77 ID:e+s7r/2n0
年が明けてから暫くして俺は就活を始めた
たまに研究会に顔を出してたんだが、
ヒツジとはあまり出会うことはなかった
51:名無しNIPPER[saga]
2024/08/16(金) 00:01:30.65 ID:mJTsWdVB0
そうこうしているうちに春になり、
無事に出版社の内定が決まったころ、
俺は風の噂でヒツジが学校を辞めたことを知ったんだ。
52:名無しNIPPER[saga]
2024/08/16(金) 14:40:03.26 ID:mJTsWdVB0
「どういうことだ?」
内定祝いの場で久しぶりに研究会の連中と会ったんだ。
初めは耳を疑ったよ。俺はビールを片手にそいつを問い詰めたんだ。
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