Bye-byeばさらガール
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14: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:04:30.81 ID:86/EQe0g0
「初対面でその人が華道の家元だとかその縁者だなんて、わかるはずもない。そもそも華道でも四種いけは今、普通に受け入れられている。なによりその娘は凛の作った花束を気に入って買っていってくれた。それでいいんだ」
 お母さんの温かさとお父さんの言葉に、私はちょっと救われた。
「それにしてもその娘、家元の縁者の娘ならお得意さんになって欲しいわね」
「そうだな。よいお客さんになってくれそうだ」
 両親の思惑とは別に、私もまたあの娘に会いたい。
以下略 AAS



15: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:05:15.44 ID:86/EQe0g0

 再会は意外に早かった。
 翌日、学校で休憩時間に窓の外を見ていると、なにやら人だかりができている。
「なんだろう?」
「んー? ああ、あれだよJ組の聖母サマ」
以下略 AAS



16: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:06:29.22 ID:86/EQe0g0
「もっとすごいのはさ、自分の取り巻きのそのファンのこと『子豚ちゃん』って呼んでるトコ」
「子豚ちゃん?」
「聖母だから導くのは迷える子羊……だけど、子羊よりも子豚ちゃんの方がかわいいからそう呼んでるんだって」
 すぐには理解できない思考だ。いや、よく考えてもいまひとつわからない。
 聖母さま……か。そう思ってその人だかりの中心を見た時、そこにいたのは……
以下略 AAS



17: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:07:16.58 ID:86/EQe0g0
「えっと、あの……せ、聖母さま!」
 名前がわからないので仕方なくそう叫ぶと、あの娘はこちらを振り返った。
「おや〜これはこれは、A組の渋谷凛さんではありませんか〜」
「え?」
 なんと、向こうは私のことを知っていたらしい。
以下略 AAS



18: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:08:04.15 ID:86/EQe0g0
「私は凛さんのことを知っていたのに、凛さんは私のことをご存じなかったのですね〜」
「あ、ほら、わ、私はA組であなたはJ組で……つまり、1番遠いクラスだから」
「J組の私はA組の凛さんのことを知っていたのに、A組の凛さんはJ組の私をご存じなかったのですね〜」
 これはだめだ。
 そう言えば昨日も「口げんかでは誰にも負けない自信がある」と彼女も言っていた。
以下略 AAS



19: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:09:02.70 ID:86/EQe0g0
「じゃあ名前」
「はい〜?」
「名前、教えてよ」
 彼女は嬉しそうに、クスクスと笑って言った。
「天空橋……天空橋朋花、ですよ〜。まあ凛さんが呼びたいなら、ずっと聖母さまと呼んでいただいても構いませんよ〜」
以下略 AAS



20: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:09:49.61 ID:86/EQe0g0
 ニコニコとして……いや、ここまでほとんどいつも彼女はニコニコとしているのだが、そう言う彼女に私は昨日両親から聞いた情報をぶつけてみる。
「あ、そうそう、花っていえば朋花の家って華道の家元をやってるの?」
 ビシッ。
 音に聞こえるように、その場の空気が変わった。
 相変わらず朋花は笑顔のままだ。だが、その場の空気が、重く冷たく凍るように変質している。
以下略 AAS



21: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:10:40.50 ID:86/EQe0g0
「その……昨日、朋花が四種いけって不満そうにつぶやいてたから」
「え?」
「お父さんに、四種いけってなにって聞いたら華道の言葉で、しかもそれを避けるのは華道でも家元みたいな人かその縁者だって聞いたから……それで……」
 空気が少し和らいだ。
「なんか……ごめん」
以下略 AAS



22: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:11:45.78 ID:86/EQe0g0

 再会を約束してわかれたのは事実だが、まさかその日の夕方に彼女がまた店にやって来るとは私も思っていなかった。
 私服であるところを見ると、いったん帰宅してから来てくれたのだろう。
 店番をしていた私に、昨日と同じように朋花は会釈をした。
「口げんかをしに来ましたよ〜」
以下略 AAS



23: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:13:06.44 ID:86/EQe0g0
「なんでわかったの!?」
「だからあの花束を作れたんだと、思いますよ〜」
 朋花はおかしそうに言うが、そういうものだろうか。
 でも確かに、昨日は無心になって花束を作れたし、あれは自分でも満足のいく出来映えだった。
「あの花束、あれからどうしたの?」
以下略 AAS



24: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:14:09.92 ID:86/EQe0g0
 よくはわからないが朋花は相変わらずニコニコと笑っている。
 私は意を決して聞いてみた。
「生け花って楽しい?」
「どうでしょうか……ただ、昨日も言った佐々木道誉はこんな言葉を残しています」
 佐々木道誉……誰だっけ。
以下略 AAS



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