9: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:10:15.01 ID:FpkFq5Eu0
※ ※ ※
「――――――来たか」
10: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:10:59.98 ID:FpkFq5Eu0
スプーンで掬いあげたカレーをまじまじと観察するアルクェイド。
おい、そんなに眼へ近づけるな。
何の脈絡も無くボコッと湧いた飛沫が眼に飛びかかるかもしれないんだぞ。
クソ、もしかしてお前まだ俺にやられた傷が癒えてないのか。
11: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:11:51.54 ID:FpkFq5Eu0
先輩は本当なら、こんな風に食べる人じゃないんです。
ちょっと健啖《けんたん》なところはあるけれど、それだって普段の運動量を考えれば少ないぐらいだし、そもそも美味しそうに食べる女の子って見ていて癒されるよね?
けど今の先輩は食事休憩無しでの徹夜明け。一周回ってハイな状態ってやつだ。
12: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:12:32.43 ID:FpkFq5Eu0
※ ※ ※
「シエル。あなたはなぜ学校に通っているの?」
13: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:13:16.57 ID:FpkFq5Eu0
「うん。私はそれを聞いてね、羨ましくって――でも手を伸ばせばわたしにも届きそうに思えた。
でも本当に手を伸ばしていいのかな? 志貴と一緒にいる時はこんな事考えないけど、一人になると昔のわたしが訴える。
アルクェイド・ブリュンスタッドは無駄なものを持ってはならない、余分は事をしてはならない。それは個体としての機能を落とす事に他ならない――って」
「おまえ……」
14: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:14:08.03 ID:FpkFq5Eu0
いったい誰に何を言われたのか。
うつむき加減で不敵に笑い始める。
というか二人の知り合いが教会にいたとか今初めて知った。
「今のところ埋葬機関としての仕事はありませんし、期せずしてあなたと奇妙な友好関係を築けたわたしが監視役として最適なのだから黙ってろとは言ってるんですがね。
15: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:14:49.54 ID:FpkFq5Eu0
「学校は確かに楽しいものですが……楽しいから通っているかというと、少し違いますね」
そんな俺も知りたかったけど知るのが怖い問いかけに、先輩は穏やかな表情で答えた。
「私が学校に通っているのは……憧れ……心残り……そういったものです」
16: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:16:17.83 ID:FpkFq5Eu0
「――――――――――」
沈黙が流れる。
17: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:16:52.95 ID:FpkFq5Eu0
辛い過去――などという生ぬるい表現では済まない事をまざまざと思い返しながら、先輩は今の自分の生き方を語ってくれた。
それもこれまで幾度となく争ってきた自分に、何の打算も無く、一人の友人として。
これに謝るのは間違っている。
先輩はそんなつもりで胸の内を明かしたわけではない。
18: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:18:25.48 ID:FpkFq5Eu0
※ ※ ※
「はじめまして、アシスタントティーチャーのアル美です!
19: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:19:08.91 ID:FpkFq5Eu0
「ぐお……っ」
「遠野くん……!?」
あまりの絶望に頭を抱える勢いが止まらず、机に額を叩きつけるように突っ伏してしまう。
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